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農夫の山羊 - The Farmer’s Goat


2018/12/15 10:32 更新

出典: UO公式
https://uo.com/wiki/ultima-online-wiki/fiction/the-farmers-goat/

By EM Malachi

冬の突風が重い木の扉をバタンと音をたてて閉じた。ドクターキャッツは磨いていたグラスから顔を上げた。麦わら帽子をかぶった若い男が困惑した様子でキャッツレアーに入って来たのを見て、このバーテンダーは彼が常連ではないことを確認した。ドクターキャッツは微笑んで、空いているスツールの前にグラスを置いた。若い男はほっとしたように肩の力を抜くとスツールに腰かけた。すり切れたバッグをカウンターにひっかけると、エールを注文した。

ドクターキャッツは飲み物をグラスに注ぐと、カウンターに置かれた若い冒険者の小銭入れを手に取った。「ちょっと失礼するよ。この見た目と重さからすると、この中には27ゴールド、釘10本、そして立派な林檎が1個入っている。」

「すごいや!」

「私の数ある特技の中の一つでね。それにしても、君はもう少し自分の持ち物に注意を払った方がいい。身の程知らずの利益を得ようとする人間もいるからね。」

「どういうことですか?」若い男が聞いた。

「私はこの街を愛している。ここには素晴らしい音楽、国中から取り寄せられた食品、そして何よりも人々で賑わっている。多くの人々は慈愛に満ちているが、そうでない者もいる。例えばこんなことだ。説明するのに釘を借りてもいいかい?」

若い男が異を唱えるはずもなく、ドクターキャッツは10本の釘を取り出して等間隔に並べた。「これはニムってゲームだ。順番に1本、2本、あるいは3本の釘を取って行って、最後に釘を取った方が勝ちだ。さあ、最初にやっていいぞ。」

「簡単そうです。」若い男は3本の釘を抜き取った。

ドクターキャッツは1本の釘を抜き取って言った。「簡単に越したことはない。」

男はさらに2本の釘を抜き、ドクターキャッツもまた2本の釘を抜き取った。最後に残った2本の釘を見て、男は嬉しそうに叫んだ。「僕の勝ちだ!」

ドクターキャッツは頷くと、ふたたび釘を10本並べた。「もっとやってみよう。今度は私からだ。」

彼らはゲームを続けたが、いずれもドクターキャッツの勝利に終わった。若い男は不満を募らせた。ついには手に持った釘を置いて降参した。「何が間違っているのかわからないや。」

ドクターキャッツは微笑むと客のエールをついでやった。釘を入れ物に戻すとこう語り始めた。「君は何も間違ってはいないさ。このゲームはフェアじゃない。この種のゲームは人を振り回して本来の自分を失わせるためにあるんだ。例えばこんな風にね:

何年か前の事だ。スカラブレイの農夫がカートに物資を山積みにして、ペットの山羊に引かせて街へとやって来た。今年の収穫は素晴らしく、彼は手にした金で、いとこが農場を買うのを支援してやるつもりでいた。カートの収穫物を売るのにさほど時間はかからなかったので、彼はブリテインに何があるのかを見て回ろうと考えた。

農夫と山羊は、ある男が人々を相手に例のゲームに興じている場面に出くわした。この賭博師はすでにたくさん勝っていた。農夫はいくばくかのコインと、玉ねぎを一袋、大きなパースニップの束を運試しに差し出した。賭博師は農夫に先にやるよう促した。農夫は最初のゲームを勝ち、次の次も買った。彼は嬉しくなってパースニップを山羊に与えた。

賭博師は輝くコインの山を取り出しながら、負けを取り返したいと農夫に懇願した。コインは農夫の所持品すべてを上回る金額だったので、賭博師は山羊を賭けるように言った。いとこに農場を買ってやれるチャンスだと思った農夫は飛びついた。山羊はきっとこの賭博師を信用していなかったに違いない。ゲームに使う石を食らおうとしていたのだから!

農夫は賭博師に先にやるよう丁寧に申し出たが、それがどのような結果を招いたかはもうおわかりだろう! 正直者の農夫は山羊の耳の後ろをそっと撫でてやると、ロープを差し出し、カートまで戻ると街を後にした。

農夫が去ると山羊は途端に言うことを聞かなくなり、その場を動こうとしなくなった。脅しもニンジンも効かなかった。賭博師は肉屋まで山羊を引きずって行こうとしたが、それもこの頑固な獣には通用しなかった。山羊は賭博師をありったけの力で蹴とばすと、一目散に逃げだした。賭博師を足蹴にしたまま山羊はブリテインの下水道に逃げ込んだ。賭博師は無論のこと追うことはしなかった。

その後その山羊に何が起こったかは知る由もないが、彼は淀んだ下水道でまだ生きている。おそらくは悪魔に魅入られたか、魔法屋“Sorcerer’s Delight”から廃棄されたポーションの混ぜ物によって姿を変えられてしまったのだろう。ある者は彼が夜な夜なあらゆるいたずらを仕掛けようと、下水道から這い上がって来るのだと噂する。いかさま師を追いかけたり、嘘つき商人の家のドアを蹴とばしたり、意地悪な主人の花壇を踏み荒らしたり、パン屋がこっそり売りぬこうとしていたひからびたパンを盗んだりするのだとね。」

語り終えると、ドクターキャッツは小銭入れを若い男に返して言った。「ほかに何か必要なものは?」

若い男は少し考えて言った。「仕事を探しているんです。大工として少しばかりの経験があります。」

「もし船を造るのに興味があるなら、船着き場にいるアーティーが人を探している。騎兵隊ギルドもフェンスを新調したがっている。どちらでも好きな方を選んで、ドクターキャッツの紹介だと言えばいい。」

若い男は小銭入れからコインを取り出して飲み物代を置いて行こうとしたが、ドクターキャッツは頑として受け取らなかった。「まず自分のことをしっかりやって、給料日になったら来たまえ。ふらりと立ち寄ってくれたあかつきには、ここで食事をしてほしい。すごいミートパイがあるんだ。」

客が帰った後、ドクターキャッツは洗い物に使った水を排水口から下水に流しながら、格子の向こうへ声を掛けた。「私は若い男を助けたよ。だからどうか、今夜の帰路を邪魔するのはやめておくれ。わかったね?クランプス。」

ブリテインの淀んだ暗闇の中で、何かが動いた。

上記の内容は、広田 剣氏 がFacebookに公開したものを引用しています。

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※広田剣とは…
ウルティマオンラインの日本のイベントモデレーター(EM)の方々によって開設された、Facebookのアカウント名です。
広田剣という名前は架空のもので、運営会社であるBroadsword社をそのまま日本語でモジったものだと言われています。
米国uo.comのニュース記事を、日本EMの方々が和訳し、広田剣としてFacebook上に公開してくださっています。

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