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前兆 - Omens - 2020/01/31更新
出典: UO Newsletter #45
https://mailchi.mp/broadsword/uo-newsletter-45?e=9e1273cca7

By EM Malachi

炎は紙片に騎士の気分を映すかのような黒い縁取りを残して広がった。思いを綴ろうと同じことを五回繰り返し、デュプレは諦めて道具を片付け始めた。
戦士として彼は任務を終えたのだ。彼の責任の範疇にある船は、すべての艦隊を率いて港に戻って来ていた。彼自身の怪我と体力の消耗にも関わらず、デュプレは都市部のヒーラーへ重傷者を送り届ける分隊の一員であった。彼は、もはや自分が必要とされないことを何度も確認した。ベスパーは安全だった。危機は去ったのだ。
宿屋の彼の部屋を出ようとしたその時、最後に会うならば彼だと思っていた、他でもないその友人にデュプレは戸口で鉢合わせた。ジョフリーはびっくりした様子だったが、包帯の束とボトルを掲げて見せた。
「部屋に戻ったと聞いたよ。ヒーラーに傷を見せなかったそうだが、どんな様子かと思ってね。」
背負った荷物の位置を直しながら、デュプレは眉をひそめた。「もう出発しようと思っていたくらいだ。」
「戦の後に休息も取らず、まして祝杯も上げずに去るのは君らしくない。私たちは勝ったんだ。そうだろう?」
「まさに任務を終えて戻って来た。」
「じゃあ、どうしたって言うんだい? いったい何を見た?」
「言いたくないんだ。私の報告書を読めば事足りる。」
「こういった類が報告書から抹消されてしまうことはわかっているだろう? 君の友人として、私は真実を知りたいんだ。」
デュプレはため息をつくと荷物を降ろした。椅子に腰かけるとジョフリーが差し出したボトルを受け取り、一気に流し込んだ。「何から話せばいいんだ? 海はジャックの船で黒く埋め尽くされ、どこが甲板で、どこが舳先なのかすら分かりやしない。どす黒い血だまりのような艦隊が、ただひたすらに叫び続けているんだ。若い水夫が船から逃れようとしているさまが見えたが、そもそもどこに逃れられると言うんだ。私はこんなこともあろうかと持ち歩いていた勇気の液体をフラスコに入れたものを手渡そうと試みた。」
「私はこうした魔術が心底恐ろしいということを知っている、だが君はトリンシック陥落で、もっと悲惨な経験をしたじゃないか。君が街を捨ててでも人々を助ける選択をしたことを私はよく覚えている。」
「ネクロマンサーの魔術は私の皮膚の上を這いずり回ったが、私は目の前の任務を遂行することだけを考えた。私たちは腐乱し、膨れ上がりながら船に乗り込もうとするゾンビどもと戦いながら、一方で船を撃沈する必要があることもわかっていた。シャミノの顔を見た時、私たちは旗艦の舷側にいた。私たちの友人の頭部が、舳先にトロフィーのように掲げられていたんだぞ!」
ジョフリーは顔をしかめたが、デュプレに先を続けさせた。
「シャミノの頭部は他の水夫たちのように叫んではいなかった。それはかすれた声で私の名を呼び、彼以外は知り得ないことを話した。私たちの大砲が唸ると頭部は水面に落ち、波の下へと沈んで行きながら忌まわしき予言を残した……悲しむことはない。お前もそう長くはないのだから、と。」
「それは怒りを誘発し、混乱させるためのネクロマンサーのトリックだ。」
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない。断定するには世界はあまりにも不確かだ。しかし、私は疑いを持ったまま進むことはできない。知る必要があるんだ。例え私の命が終わりに近づいていたとしても、私がどこで必要とされているのかを、知らなくてはならない。」
「何をしようって言うんだい?」
「数年前に会ったペナンブラという女性のシーアがいる。日食、あるいは月食の娘とも言われる女性だ。彼女がおそらく答えを知っている。彼女を見つけるつもりだ。」
「孤高の騎士のクエストに道連れと言うのもなんだがね?」
デュプレが首を振って立ち上がるのを見て、ジョフリーは一言だけ言った。「気を付けて行って来てくれ。」
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