波止場にて - Dockside - 2020/03/24更新

出典: UO公式
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波止場は活気が渦巻くようだった。ブリタニア中から集まって来た木箱が揚げ降ろしされ、桟橋では乗組員と商人たちの怒号にも似たやり取りが飛び交っていた。イオロはニューマジンシアへ帰郷しようとするカタリナとともに、船の出港準備を見守っていた。「家に帰れて、嬉しいかい？」

カボチャを積んだ荷車が彼女のすぐ脇のタラップを勢いよく駆け上がったので、カタリナは荷物をぎゅっと握りしめた。「ええ、待ちきれないわ。ブリテインを訪れたことは数えるほどしかないけれど、毎回もうたくさんって思うの。」

「たくさんだって？」

「盛りだくさんじゃない！ 人も、ゴミも、 喧噪も、何もかもがよ！」

イオロは友人の苛立ちの理由はそれだけでないことを感じ取った。「どうしたんだい？ カタリナ。」

「説明が必要かしら？ フェリドウィンは死んだのよ。フェローシップは私の友人を殺し、何食わぬ顔でやり過ごそうとしている。そしてあなたもよ！ なぜフェローシップのために働けるの？ フェリドウィンはあなたの友人でもあったのに！」

イオロは川の門橋のあたりを彷徨う男の子を指さした。「あれはフィンだ。彼は5歳の時に両親を亡くして以来、川で屑拾いとして生計を立てている。フェローシップのおかげで彼は寝床を得た。彼は君の友人を殺したかい？」

カタリナは困惑した。「いいえ、もちろん違うわ。」

イオロは桟橋でニンジンを売る年老いた女へと指先を移動させた。「あれは未亡人のカミーユだ。彼女は食材の余分が少しでもあれば、いつだって救貧院へ来て分け与えるんだ。だから彼女は独りじゃない。彼女は私たちの友人を殺したかい？」

「違うわ。だけど……。」

「どれ、君が怒りを向けている、潔白な人々をもっと探すかい？」

カタリナは泣いていた。「やめてちょうだい。彼らはフェリドウィンの羊たちよ。」

イオロはカタリナを抱きしめて言った。「そうだ。彼らはフェリドウィンが気に掛けて来た人々だ。今、私たちにできる最善のことは、彼らのような人々を守ることだ。君はニューマジンシアで、私はブリテインで。」

カタリナは深く息を吸い込んだ。「ただ、腹が立って仕方ないの。フェローシップは彼の死を利用している。リーダーのバトリンは黒いサッシュを身にまとって涙を流しているけれど、その下でまるで狼のように牙を剥いているのよ。」

「君が怒るのは無理からぬことだ。フェローシップの正体を知っているだけにね。フェリドウィンに直接手を下したのはあのガーゴイルだが、私とて黒幕が誰なのかを見極めようとして来たさ。」

カタリナは乗り込もうとした船のタラップで足を止め、イオロを振り返って言った。「いつか、審判が下る時が来るかしら？」

イオロは矢筒の中のカラスの羽で作ったボルトの束を叩いて見せた。「私がやるさ。」