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暗闇の中で - Walk through Shadows - 2020/04/29更新
出典: UOニュースレター
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By EM Malachi

空気は暖かく、シャミノの愛すべき人がバルコニーから中へ入るよう手招きしていた。レンジャーにして王である彼は、城の広間を前にしながら、しかしどのようにしてここまで来たのかは思い出せないのであった。

光に導かれたような気はしていたが、思い直してシャミノは目の前の彼に課せられた責任である紙の束に向き直った。果たしてデスク越しに座っていたのは城の執事ではなく、星のローブを身にまとった男であった。日の光がさんさんと彼に降り注いでいたが、彼から落ちる影はどこにもなかった。タイムロードはほほ笑んだ。「今、起こっている事柄について話し合おうではないか。」

「どのようなことを?」

「汝は今、何者も到達したことのない、魂の井戸の深みへと足を踏み入れようとしている。ブリタニアの人々のために尽くすこともできようが、次の段階へと進むこともできる。」

「次に何があると?」

「何者もかつて経験したことがない、おおいなる神秘だよ。」

シャミノは彼の肩ごしの光を振り返った。愛しいビュートリクスは可憐な、そして悲し気なほほ笑みを彼に投げかけ、かき消すようにいなくなってしまった。例え約束された未来があったとしても、彼は友人たちを置き去りにはできなかったのであり、まして迫り来る邪悪な者たちの声を聞きながら、どうしてそれを無視することができようか。「僕はここに留まって戦う。」

ホークウィンドは頷いた。「それはたやすいことではない。ジャックはたかだかチェスのポーンにすぎなかったかも知れないが、彼が与えた損害は現実のものだ。」その時、ネクロマンサーが首のない彼の体を自在に操り、亡霊たちをブリタニアに送り込む光景をシャミノは見た。絶叫しながら燃え盛る艦隊を、炎と海が彼のうつし世の肉体を飲み込むのを見た。

ホークウィンドが続けた。「だがもう十分に戦ったろう。」とうの昔に永の別れをしたはずのジュリアの遺志を、もう十分過ぎるほどに引き継ぎ、寄り添いながら戦う自分自身の姿もまた、シャミノは見た。神殿の秘密はそれを修復するに値する者たちの夢に現れることだろう。

「汝の行く道は依然として険しい。多くの良くないことが起こるだろう。」時間がシャミノの周りで渦巻き、いくつかの未来予想図を紡いで見せた。磨き上げられた甲冑の軍隊が罪なき者たちの血に染まりながら、果てしない暗闇から延びる手のように広がり、彼の故郷であるスカラブレイを荒廃させて行く様を。

ホークウィンドはさらに続けて言った。「だが希望もある。」景色は一変し、人々がブリテインの火災を消し止めようと、バケツを手から手へと受け渡しする様をシャミノは見た。ヒューマンとガーゴイルは連合軍を結成し、シャミノの友人たちが迫り来る悪に各々の力で立ち向かっている姿を。

これらの景色が見えなくなると、シャミノは口を開いた。「僕はこの現状から彼らを救うために戦う。」

「汝には数多くの敵がいることを忘れてはならない。先代のリッチたちは彼らの墓と屍に留まりながら今も汝の名を呪い続けている。来るべき闇はお前を憎む術を知っている。そして汝はもはや肉体を持たない。」

「僕の肉体は完全に消滅したと?」

「いかにも。しかし汝の精神は不滅だ。それは世界を変えるだろう。」
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