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ジュリアの夢 - Dreams of Julia - 2020/08/05更新
出典:UO公式ニュースレター
https://mailchi.mp/broadsword/uo-newsletter-51?e=9e1273cca7

By EM Malachi

何年も前のこと……
ハルストン・モンティルは構えた剣の刃先へと視線を這わせ、目の前に立ちはだかるトロルを見た。このロイヤルガードの調査員は、フォロワー・オブ・アーマゲドンのリーダーを追って大陸の実に半分を巡ったのであるが、ブリタニアを攻撃させようと騙され、怒り狂うトロルに遅れてようやく到着したのであった。モンティルは彼の配下の戦士たちが並みいるクリーチャーたちを処理できると考えていたが、カルト集団が背後に隠す、無実の二人を危険にさらさないわけにも行かないこともまた、わかっていた。「トロルよ、これ以上我々に危害を加えないと約束できるのなら、このまま逃げるがいい。」
「兄弟殺しは死すべし!」
オレンジ色の質素な服を着た人質の一人が、ガードは殺人者を止め、正義が行われるのだということをトロルに説得しようと試みたが、トロルは理性を失っていた。トロルのサンクが大きな棍棒を人質二人とガードに向けて振り下ろし、何をか口を挟もうとしたジュリアはもう一人の人質をかばってその小さな体に一撃を受けた。
ロイヤルガードはもはや躊躇しなかった。隊伍の半分がカルト集団のリーダーを確保し、残り半分はトロルに向かって行った。トロルはそう簡単に倒れることはなく、横たわり、死にゆく間にもなお、敵に向かい、這いつくばりながら叫ぶのであった。「兄弟殺し!」と。モンティルはトロルに殺人者を討ち取らせてやりたいという思いにかられすらした。
脅威は去り、モンティルは負傷者へと目を向けた。無傷の方の人質であるマライアという魔術師が、瀕死の女性を腕に抱き、地面から引き抜いた秘薬の人参にマナを集中させようとしていた。ガードはヒールの呪文に気付いたが、それだけでは不十分であることをジュリアの顔色から察していた。
*****
改心したとある海賊の夢の中で……

森の中の空気は冷たく、西側の川から霧を運んで来た。ジャシールはクロークを引き寄せ、神殿への道を辿った。一人の女性が散らばった瓦礫を拾い集めていた。彼女は蒼白で、結んだ髪だけが赤く垂れ下がっていた。彼が近づくと、彼女は見上げて口を開いた。「古代のソーサリアンたちは動物の骨を剣を作る鉄に混ぜたのよ。彼らは剣に大熊の力強さと狼のどう猛さが宿ると信じていたの。」

「効果はあったのかい?」

「他のものと同じくらいにはね。」ジュリアは身をかがめ、金色の、涙型をした象嵌に手を這わせた。 「この金を集めるのを手伝ってくれた子どもたちは、ミノックを支える大人たちへと成長したわ。鉱夫、戦士、職人へと。争いの中でどれほどの人々が、私たちの生き方のために血を流したと思う? あとどれだけ失えばいいというの?」彼女は泣き出した。

ジャシールは彼女を慰めようと近づいたが、地面がジュリアの地で赤く染まっていることに気付いた。幽霊は彼に向き直り、ゆらゆらと揺れていた。「私はもう、彼らを守れないの。彼らには、あなたが必要よ。」

「何が必要なんだい?」

「犠牲よ。いつの世もね。」
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