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冬のロケットペンダント - The Locket of Winter - 2020/12/08更新
出典: UO公式
https://uo.com/2020/12/07/tears-of-the-ice-dragon/

By EM Malachi

何年も前のこと……

高い山のいただきを吹き抜ける風が悲鳴を上げた。魔法によって最悪の事態から逃れてはいたが、登山者は真冬の痺れを感じた。とは言っても、ドロゲニは登り続けることを止めなかった。

頂上に到達すると魔法使いである彼女は荷物を下ろし、中から儀式に必要なものを取り出した。ドロゲニは繊細な細工が施された銀のロケットを取り出し、雪の上に置いた。それは10年に及ぶ研究と、1年分の魔法の集大成であった。

轟く風に立ちはだかり、彼女は歌い始めた。讃美歌にも似たその歌は魔法に満ちており、冬そのものを踊りの輪の中へと招き寄せるかのようであった。風は変化し、霜は渦を巻くようにして集まり始めた……翼、牙、そして鱗へと。ドロゲニがさらに歌い続けると、魔法は冬を二頭のドラゴンの形へといよいよ変化させた。

歌の最後のくだりでドラゴンはこの世で最初の呼吸を吹き込まれ、遠吠えに似た雄叫びを上げた。二頭のドラゴンが魔法使いの歌に加わると、山は歓喜の調べで満たされた。

歌が終わり、ドロゲニがロケットを閉じると、ドラゴンは消えた。氷のドラゴンたちはロケットの中の、魔力で封印された世界に住まい、来るべき春と夏から保護されるのであった。

*****

月日は流れ、ドロゲニは人生の終わりを迎えた。彼女が面倒を見ていた男は不死の命を求めて去って行ったが、それは彼女のためではなかった。人生は一度きりで十分だ。彼女の家族はドラゴンたちだけであり、彼女が最初にロケットを開いて以来、彼らはいくつもの充実した冬を過ごして来たのだ。

魔法使いは幼いドラゴンたちが自由に過ごせるようにと世界から隔絶された氷河の流れる麓の小屋に引っ越した。毎年多くの子どもたちが生まれた。

彼女の魔法が彼らを生かす傍ら、ドラゴンたちは彼女に恩返しした。彼らは狩りで獲れた鹿肉を持って来たり、狼から彼女の小屋を守ったりした。ドロゲニは若ドラゴンたちが悪ふざけで流した血を集めて、彼女の関節炎用の軟膏を作ることができた。年老いた魔法使いを眠りへといざなうのはドラゴンたちの歌であった。

例えどんなに気に掛け、愛されていようとも、ドロゲニが冬のロケットを閉じる最後の日はやって来た。

*****

今年の冬のこと……

とある泥棒が、彼が不正に築いた財産をすべて失うという夢を毎晩のように見ていた。ある時は大きな裂け目が開いて彼の宝の山を飲み込み、またある時はコインや宝石、魔法の武器を腕いっぱいに抱えながら雪の中を走っていたが、風がこれらをすべてかすめ取って行った。プローニオにとってこれは許しがたいことであった。

ある時泥棒は、彼の宝を守ってくれるものがありはしないかと、強力なアーティファクトを集めているという評判の魔法使いを襲った。プローニオは彼の隠し財産をロングの監獄の北にある凍り付いた洞窟へと移した。そこは街の喧騒から遠く離れており、彼のような者と同様に人々から避けられていた。

泥棒は盗み出したガラクタの中の一番小さいものから吟味して行くことにした。銀のロケットを拾い上げ、プローニオはそれを空中で泳がせてみた。何も起こらないと見ると、泥棒はそれをナイフでこじ開けた。

ロケットから大いなる寒気と恐ろし気な咆哮が轟き渡り、泥棒はそれを洞窟の中めがけて放り投げた。霜と雪が銀色の小さなロケットから噴き出し、プローニオは混乱の中で怪物のような姿を見た。恐怖にかられ、泥棒は逃げ出した。

ロケットは開き、冬は放たれたのである。
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