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The Corruption -腐敗 とは……?


2015/05/12 15:58 更新


Part III: The Corruption - 腐敗
出典: UO Stratics Event Archive
http://uo.stratics.com/uoherald/archive/archive.php?archiveId=633

今回のライブはいくつかのファセットを舞台に展開されますが、知られざる暗き地、すなわちマラスも第一回から登場します。
マラスはウルティマ オンラインの5度目の拡張パックとして2003年に発売された“Age of Shadows”にて新たに導入された大陸です。ご存知グレインとモ―ディンの兄弟が航海中に巨大な渦に巻き込まれて遭難し、漂着したとされる地です。二人は後にマラスの地においてそれぞれパラディンとネクロマンサーの祖となりますが、このグリムズウィンド兄弟、“ソーサリアの軌跡”を監修したことでも知られるアーキビスト(公文書保管人)のマラキによると、The Shattering “粉砕”以前に既に存在していたとか。彼らはあの巨大な渦によってまさに時間とファセットを旅してやって来たのです。

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「タリル、その調子だ。集中するんだ。」モーディンは静かに言った。彼は目の上の白髪の束を払いのけると生徒たちに向き直った。
「お前たちが目にしている力を決して見くびっても侮ってもいけない。ネクロマンシーは我々のとてつもない集中と自制をもってして、非常に繊細な力を与えてくれる。お前たちは我々が生きて存在することを許されている、大いなる力と取引を行っているのだ。多くの者は我々の所業を死に等しい力と見なす、この誤解には常に悩まされている……。タリル、準備はいいか?」
タリルはモーディンの後ろの大きな木のテーブル越しに座っていた。彼の手はまるで生きているかのように直立した状態でバランスを保っている小さなネズミの屍の上にかざされていた。薄く、青い光がタリルの手とネズミを包む。タリルは集中から無表情ではあったが、モーディンをちらりと見やると素早く頷いて見せた。タリルが彼の手を動かすと、ネズミは小さな輪っかに向かってぎこちないながらもゆっくりと用心深い歩を進めた。細心の注意を払ってそれは輪っかの中に腹ばいになり、前を向いた。タリルは静止し、輪の中のネズミに一心に集中しようと小さく息を吸ったまま止めた。一歩、また一歩、それは脚を前に出し、輪の中を歩き始めた。
「これは死をコントロールする力ではない、しかし命を媒介するのだ。」モーディンは続けた。「命よりも大切なものはない、そしてネクロマンシーにおいていかにして巧みに命を媒介するかということ以上に重要なことはない。お前たちの中には小さな動物の死体を使って練習するなんてつまらないと思う者もあるだろう。お前たちが理解しておかねばならないことは、この力は、お前たちの力は、限度を知らなければいともたやすく命あるものをあやめてしまうということだ。」モーディンは振り向き、走るネズミをしばし見つめた。「よくやった。タリル。彼を解放してやりなさい。」
タリルがネズミを止めるとそれは輪から降りた。タリルが薄笑いを浮かべると、ネズミはそれを取り巻いていた光が消え、テーブルの上にくずおれる前に小さな芝居がかったお辞儀をした。モーディンは彼の生徒に眉をつり上げて見せると続けた。
「おそらくお前たちの学問においてより一層理解すべき重要な課題こそが死へ敬意であり、相手がどんなに小さき者であっても関係ない。場合によってはそれは命ある者への敬意以上に重要だ。お前たちがたとえ一瞬であっても、慰みのために、あるいは私欲のために死せる者に命を媒介してもいいと考えるのなら、この学問の恩恵を忘れるという危険を冒そうとしている。お前たちが自らの技術を他者を助けるために用いるつもりがないのなら、もはや私から学ぶことはない。」
モーディンが教室の中をにらみつけると、彼は背後に兄が静かに立っていることに気づいた。
「今日はここまでだ。明日同じ時間に続きをするので秘薬と病気の治療に関するメモを全部持ってくるように。ありがとう、お疲れさん。」生徒たちがぞろぞろと教室を出て行くと、モーディンの声がざわざわとしたおしゃべりを切り裂いた。「タリル!私が最後に言ったことを忘れてはいまいな?」
タリルは立ち止まり、まるで背中をダーツで射られたかのように振り返った。「もちろんです、先生。忘れてはいません。」
「今夜厩舎を掃除しながらよく考えなさい。」
「先生、先生とはトーム(大全)からスペルを写書させていただくことについて話し合いました……。」
モーディンはタリルの言葉をすかさず遮った。「わたしがまだそれについて考えているという幸運に感謝しなさい。トームの知識はそれを一点の曇りもなく敬う者にだけ開かれる。タリル、それを絶対に忘れないようにしなさい。」
タリルの表情が少しだけ引き締まった「はい先生。」彼は頭を少し下げてお辞儀すると、堅苦しい様子で教室を歩み去った。
「彼はぼくのある生徒を思い出させるよ。」グレインはくすくす笑った。彼の白く、長い髪の毛は彼の白いローブの中に溶け込んでいるかのようだった。「彼は世界を独り占めしてどうすべきなのか教えてくれようとしてるのさ。」
モーディンは教室の中ほどで兄に対面し、彼らは手を握り合った。「もし彼がわずかでも気づかせてくれなかったら、わたしはもうあきらめていただろう。」モーディンは微笑んだ。「こうして会うのも今月に入って三度目だ。このようにして会うことは単純に止めなくてはなるまい。」
グレインはため息をついた。「僕らの生徒同士でまた新たな争いが勃発したようだ。」
「わたしはこの部屋で2時間講義をしていたんだ。今宵はいい夜だ。少し歩こうじゃないか。」モーディンはドアを開け放つとクロークをつかみ、二人の兄弟たちは日没の最後の光の中に歩き出した。
「わたしはもはや彼を教えないとその生徒に告げたんだ。」モーディンは話しはじめた。「人々はわたしが本から得た知識をもう十分に警戒しているように見える。わたしはネクロマンシーを危険なものだと思い込んでいる生徒を必要としないんだよ。」
「危険じゃないのかい?」グレインが素早く言った。
モーディンは立ち止まると彼の兄をいぶかしげに見つめた。「君はケンカしている我々の生徒たちについて話すためにここに来たんじゃなかったのかい?」
「最近はもっぱら考え事をしてたんだ。ぼくたちはぼくらの知識が広めるにあたうものだと決断するまでに30年もの間本を独学で学んだ。そしてもう10年も教え続けてる。だけど不信は毎年だんだん大きくなって行くようで、君と僕の生徒は互いに争うばかりだ。」グレインは言葉を切るとモーディンを見た。「パラディンの古文書にあるすべての知識をぼくは生徒たちに分け与えた。君はたくさんの事を隠し持っている。いったい何を守っているんだい?」
モーディンはため息をついた。「ネクロマンサーのトーム(大全)には警告がある。」彼は神経質そうに手を握り合わせた。「それはあいまいなものだ。わたしはこのことを誰にも言わなかったが、本自体は3年前に学ぶことを止めてしまった。何かを見つけてしまうのではないかと恐れたからね。」
「その本が適切でない者の手に渡ってしまったら?何が起こるんだい?」グレインの声は冷酷に響いた。
「わたしは安全なスペルだけを写書して後は隠す計画を立てた。ある部分を読んでからはそれをボイドの虚空間に投げ入れてしまおうと考えた。」モーディンは地面を見つめた。「光を闇で覆い尽くし、あるいはそれに匹敵する影響をもたらす言い表せないほどの破壊について語られていた。戦争にも用いられたのではないかと思っている。」
「では君はその本を誰にも見せるつもりはないんだね?」グレインは問うた。
「そうだ、そうだとも。あまりにも危険だ。タリルはわたしの後継者になることは間違いないだろう。しかしあくまで私が安全だと認めたスペルによってだけだ。トームは永遠に隠されなくてはならない。グレイン、わたしは秘めたる力によって何が起こるか考えると……。不自然で、悪意に満ちたことだ。間違った者の手に渡れば間違いなく混沌を招くだろう。」モーディンはわずかな沈黙の後再び歩き出した。
「誰にも知られてはならない。絶対に言わないでくれ。」
「誓うよ、兄弟。」グレインは言った。「ぼくは君がその本から離れようとする強さを持っていることを誇りに思う。」
「わたしだけじゃないんだ。世界の問題なんだ。」モーディンはため息をついた。
「君はぼくの恐怖を和らげてくれた。モーディン。君を信じるよ。」グレインは振り返ると空に輝き始めた一番星を見た。「もう遅いしファラが僕がどこへ行ったのか心配するだろうから。」
「彼女によろしく伝えてくれ。」モーディンは言った。
グレインは手を振ると家を目指して歩き始めた。モーディンはしばらく空をじっと見つめていたが、やがて彼の研究所へと戻って行った。暗闇の中ではインビジビリティのスペルを解除し、角に身を潜めた輪郭が姿を現した。

上記の内容は、広田 剣氏 がFacebookに公開したものを引用しています。

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