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嘆きの海 - Sea of Tears


2019/04/16 21:36 更新

出典: UO公式
https://uo.com/2019/04/16/sea-of-tears/

By EM Malachi

鉄格子が嵌められた大きな水槽の中で、鎖に繋がれたニクシーはただ自分のために歌った。歌は海の温みにも似た、好奇と美しさに満ちた子どものように言葉のない旋律に始まり、幾年にも渡る彼女の監禁生活を物語る葬送歌へと変化し、やがて脱出を試みる勇敢なバラードへ昇華して行くのだった。彼女の声は周辺の魔法を引き寄せ、彼女を拘束する手錠を攻撃した。彼女の手首をまるで腕輪のように囲む傷の周りで、鉄は赤い光を放って耐えながら燃えていた。

もはやこれ以上の痛みに耐えられなくなった時、彼女は沈黙し、歌は降り注ぐ稲妻となって崩壊した。部屋の向こう側から小ばかにしたような拍手が鳴り響いた。ノクサムは小脇に小さな木箱を抱えた海賊王を振り返り、そして目をそらした。「戻って来たのね。あなたは死なずに済んだってわけ。」

「期待していたような言い方だな。」

「どんな時も希望は捨てていないわ。」

「海のエルフよ、ここに希望などない。おめおめ逃げ出そうなどと考えるな。」

ノクサムは熱を奪われて行く手錠を掲げて言った。「いつまでもこんなことは続かないわ。生き恥を晒すよりも死んだほうがましよ。」

フックはしかめ面をして見せた。「お前の鱗を傷つけるような真似はしていないはずだ。」

「それはあなたが私をコレクションの一部として、単なる所有物しか思っていないからよ。だけど私はあなたの他者に対する仕打ちを目にして来たし、あなたが何者であるかを忘れることは無い。ましてあなたの仲間になんてならないわ。」

フックは木箱を降ろしながら肩をすくめた。「お前さんの許可はいらん。」そう言うとフックは真綿の上の武勇のルーンを取り出してランタンに透かした。手の傷がルーンの表面に施された剣の彫刻に血の跡を付けた。

ルーンにまつわる何かが、仲間をサメから救い出したと言うニクシーの古いバラードをノクサムに思い出させた。「それがあなたに何の役に立つというのかしら。宝の山にでも放り込んでおくつもり? あるいはゆすりたかりの道具とでも?」

フックは笑った。「違うね。これは武器だ。」

*****

フックはランキンがルーンを囲む魔方陣に様々な道具を置いて行くのを眺めていた。「本当に人骨が必要かい?そんなものは自分に酔った詐欺師の小道具だと思っていたよ。 」

ランキンは大腿骨の位置を修正しながら言った。「君が言っていることはおおむね正しい。ネクロマンシーで実際に骸骨が使用されることはない。だが、私が唯一習得する機会のなかったペイガン魔法があってね。なぜならそれは人の血と髄に宿るものだからだ。」

「どうやってそれを手に入れた? 所有者が簡単に手放すはずがあるまい。」

「かのテンペストは最期まで囚われの身となることはなかったが、遺体は気のいい墓堀人へと引き渡されたのさ。私は彼女の血脈を期が熟すまで保存しておいたというわけだ。」

ランキンは最後に微笑みをたたえた遺留物を北に配置した。「おおモルデイアよ、なんと美しい血をあなたは持っていたことか。惜しむらくはロイヤルガードがそのほとんどをこぼしてしまったことだ。」

フックは苛立ちを隠さずに足を踏み鳴らした。「古き友の骨が我々に光をもたらすとでも?」

「説明した通り、この呪文は最初の一歩に過ぎない。だが君は間違いなくその効果に感謝することになる。私は詠唱に取りかからねばならない。もっともらしいコメントはそこまでだ。」

*****

北に向かって吹きすさぶ嵐と南の浅瀬に阻まれ、もはや脱出は不可能だった。王室海軍は武勇島から英雄岬に向けてたった今出港したばかりのクラウン・ジュエル号と海賊の船団を追っていた。数で勝る船と大砲を有する海軍の指揮官は、一度接近しさえすれば忌々しい海賊どもを一網打尽にできると信じて疑わなかった。

小さな海賊船が既に海軍の大砲によって降伏していた。指揮官は海賊の船団が血路を開こうとしていると見て、全速力での追尾を命じた。だから彼らが速度を落とした時、指揮官は驚きを隠さなかった。

突如として気圧が変化し、武勇島を取り巻く海面が渦を巻き始めた。海軍艦隊の背後で嵐は強さと猛々しさを増して成長し続けた。風が、水が、艦隊を打ちのめした。乗組員たちは帆を降ろそうと躍起になったが、満帆で追尾に当たっていた艦隊は、ものの数分で半数がマストを失う事態となった。よしんば帆を降ろすことが出来たとしても、座礁した船が大砲の集中砲火を浴びるのを、乗組員はただ見ているしかできなかった。

二、三隻の船がかろうじて嵐を回避して退却に成功したが、この一件でブリタニアは南方の艦隊を半分失うことになった。惨状をクラウン・ジュエル号から眺め、ランキンは笑った。「ムーングロウの愚か者どもは、今こそ私の力を思い知るがいい。」

上記の内容は、広田 剣氏 がFacebookに公開したものを引用しています。

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※広田剣とは…
ウルティマオンラインの日本のイベントモデレーター(EM)の方々によって開設された、Facebookのアカウント名です。
広田剣という名前は架空のもので、運営会社であるBroadsword社をそのまま日本語でモジったものだと言われています。
米国uo.comのニュース記事を、日本EMの方々が和訳し、広田剣としてFacebook上に公開してくださっています。

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