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Asuka

九尾狐異文③(後記)

引用元:別ウィンドウで開く https://asuka.uojapan.com/?p=2595
2026.02.07

玄道が蘇生を施したおさきは幼子としてこの世に受肉した。
掌に収まるほどの小さな身体はかすかな寝息を立て、まるで最初からこの世に在ったかのように、
穏やかな温もりを帯びていた。
あの封印の地で見た魂だけの淡い光とは違う。確かに血が巡り、息をし、泣き、笑う、ひとつの
命であった。

それから幾年も経たぬうちに、おさきは目覚ましい速さで成長した。
幼子の面影が薄れると、今度は見る者の目を奪うほどの美しさを宿してゆく。
艶を帯びた黒髪は陽を受けて柔らかく光り、白磁のような肌はどこか人ならぬ気配を残している。
すれ違う男の多くが思わず振り返り、しばし足を止めるほどの美貌であった。

もっとも、その視線におさきが気付くことはほとんどない。
彼女の目は、常に玄道の背を追い、歩みに合わせて寄り添うことを当然としていた。

玄道は変わらずおさきと共に救世の旅を続けていた。
山を越え、里を訪ね、怪異の噂があれば足を運ぶ。
祓い、鎮め、癒し、名もなき人々の安寧を取り戻す。
その日々の中で、おさきは自然と玄道の傍らに在り続けた。

幼い頃からそうであったように、おさきは玄道の腕に寄り添うことを自らの立ち位置のように振る舞った。
言葉にするでもなく、離れるでもなく、ただそこに在る。それが彼女にとって最も自然な在り様であった。

女性へと成長した今も、その距離は変わらない。

寄り添われる玄道も決して悪い気はしなかった、むしろ、その温もりによって自身が孤独ではないと救われる瞬間すらある。
だが、ふとした折に周囲の視線を思い出すと胸の奥が落ち着かなくなる。
年若い娘と壮年を迎えようとする僧が並び歩く姿は、傍目にどう映るだろうか。
いらぬ誤解や憶測を呼ぶこともあろう。

その度に玄道は、咳払いをひとつして歩みを整える。
おさきは気付かぬまま、変わらず寄り添ってくるのであった。

ひとたび怪異が起これば、その様子は一変する。
おさきの目は鋭くなり、周囲の気配を瞬時に読み取る。
玄道が祈祷を始めれば、言葉を交わすまでもなく、死角を埋めるように立ち回る。
阿吽の呼吸で事に当たる二人の姿は、もはや師と弟子でも、導き手と守られる者でもない。
長き時を共にした、並び立つ者同士の在り様であった。

玄道は時折、おさきの横顔を盗み見る。

この娘は、どれほどの時を生きるのだろうか。
人の理から外れた魂を持ちながら、人の姿で、笑い、歩き、息をしている。
やがて自分が老い、歩みを止めたあともおさきはこの世に在り続けるのだろう。

その時、おさきは何を思うのか。

ふと、玄道は考える。

このまま、おさきと救世の旅を続けることは、いずれ叶わなくなるだろう。
己の足は年々重くなり、視界もかすみ、祈祷の後には深い疲れが残るようになった。
若き日のように無理が利く身体ではない。

どこかの庵に居を構え、静かに時を重ねる日が来るのかもしれない。
風の音を聞き、香を焚き、訪れる者だけを迎える穏やかな日々。
そうした暮らしも、悪くはない。

だが、今はその時ではない。

己の力がまだ及ぶうちは、歩みを止めるわけにはいかぬ。
救いを求める声は、山の向こう、海の彼方、至る所にある。
足が動くうちは、その声に応えたい。

徳之島には、まだ巡っていない地がいくつもある。
古くからの祠、忘れられた社、名もなき洞穴。
そこに残る穢れや歪みを、見過ごすわけにはいかない。

玄道は、そう心に定める。

おさきは何も知らぬ顔で、隣を歩いている。
時折、こちらを見上げて微笑む。その笑みは、幼子の頃と変わらぬ無垢さを残している。

玄道は小さく息を吐き、空を仰ぐ。

今しばらく、この旅を続けよう。
おさきと共に、歩めるだけ歩こう。

やがて訪れるであろう別れの時を思うのは、その先でよい。

風が草を揺らし、遠くで鳥が鳴く。二人の影は並び、ゆっくりと野道を進んでゆく。

救世の旅は、まだ終わらない。

この記事は、イベントを企画している「イベントモデレーター」のブログのページを引用しています。

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