王立広報室・広報官のリシオです。
今回は、ブリテイン郊外で桜の木の世話をしているサクラコさんからの依頼です。

ブリテインの南に流れる川沿いに、数年前トクノから桜の木を移植しました。
その桜が最近元気が無いため調査したところ、病気になっていることが判明します。
その原因は川の汚染でした。
汚染源を調査すべく、上流を調べるとオークが山を掘り抜き鉱石を採掘していることが判りました。
通常、水源が汚染されないように処理しますが、相手はオークです。
そのまま放置しているため、地下水が汚染され川に流れていたのです。
今回は弱った木々を回復させ、オークを退治する内容になります。
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◆開催日時:4月29日(日)22:30~
◆集合場所:Britain広場
※集合場所付近はリコールできないようになりますのでご注意ください。
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注意事項:
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
- イベント進行の妨害、かく乱行為。
- EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!
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プロローグ
ブリテイン王立広報室。
王都でも有名な、「仕事をしている気分にだけは全力」な部署である。
「室長。なんだか……エキゾチックというか、鼻に抜ける香りの飲み物ですね」
「ん? ユーの森にある『喫茶シャンピニョン』の春ブレンド新茶にゃ」
室長のネコマタコは、愛用のカップを傾け、一口すすると「にゃ〜」と気の抜けたあくびを漏らした。
シャンピニョンは、森の貴重なキノコを害獣から守るべく設置された店舗だが、ネコマタコはその季節限定茶の虜となり、足繁く通っているのだ。
「春野菜をふんだんに使っているらしいにゃ。一口飲んでみるかにゃ?」
「いただきます」
広報官のリシオが何気なくカップを受け取り、口に含んだ。その瞬間、未知の痺れが舌を突き抜け、顔が歪む。
「に、苦い……!」
「にゃはははは。その苦みがクセになるのに。リシオはまだまだお子様にゃ」
笑いながらカップを回収し、再び口をつける室長。
リシオはハッとした。
「今、僕は室長の飲みかけのカップに口を……これって間接なんとやらでは?」と、耳まで赤く染まったその時、ネコマタコが不意に真剣な声を出す。
「そういやリシオ、あのザッカーハーグ家のサリシア様はどうなったにゃ?」

「あ、はい」
リシオは瞬時に公の顔へと切り替えた。
先月、広報室を訪れ依頼をしていった貴族のお嬢様だ。
二年前の不名誉な事件以来、社交界から遠ざけられていたザッカーハーグ家。
その長女サリシアは、伯爵家のご子息の誕生祝賀会に「ドラゴンエッグの宝石」を持参すべく、冒険者の力を借りて見事にそれを入手していた。
「それが、祝賀会は延期になったそうです。主役のご子息が急病に倒れられたとか……」
「病、にゃ……。そういえば最近、ブリテイン郊外でも体調を崩す者が増えていると聞くにゃ」
原因不明の体調不良。季節の変わり目による風邪か、あるいはもっと別の「何か」か。
王室も調査に乗り出しているという不穏な噂が、広報室ののんびりした空気をわずかに震わせた。
「コンコン」
その時、控えめだが芯の通ったノックの音が響き、扉が開かれた。
入ってきたのは、桜色のショートヘアを揺らし、白いチュニックにスカートを纏った可憐な女性であった。
「広報室へようこそ」
リシオがいつもの爽やかな笑顔で出迎える。

「……冒険者への依頼をお願いしたくて参りました」
「広報官のリシオと申します」
「郊外の自治会で桜の木の世話をしているサクラコと申します」
「詳しい事情をお伺いしますね。さあ、応接ブースへ」
椅子に腰掛けたサクラコは、深く息を吸い込んだ。
彼女の瞳には、愛する桜を救いたいという切実な願いと、その背後に潜むオークたちの邪悪な影への憤りが宿っていた。
「実は、ブリテイン郊外の桜並木が、恐ろしい毒に蝕まれているのです。そしてその原因は……」
静かに、しかし力強く、サクラコは「腐敗の真実」を語り始めた。
◇◇◇
ブリテインののどかな郊外。
サクラコは、遠くトクノ諸島から移植された「桜」の管理を任されていた。
しかし、その朝、彼女は眼前の光景に息を呑んだ。
「おかしい、何これ?」
視界に飛び込んできたのは、炭を塗りたくったようにどす黒く変色した幹の群れだった。
昨日まで、目に見える異変などなかったはずだ。ただ、振り返れば予兆はあった。
今年は蕾が膨らんでからというもの、開花するまでの時間が異様に長かったのだ。寒の戻りがあったわけでもなく、春の陽光は十分に降り注いでいた。
それなのに、桜たちは頑なに花開くのを拒むかのように、静止し続けていた。
桜の樹皮にそっと触れた瞬間、サクラコの指先が不自然に沈み込んだ。
硬いはずの木肌が、まるで腐った、果実のようにぶよぶよと壊死した感触を返してくる。
押し返された指の隙間からは、鼻を突くような悪臭を放つどす黒い樹液が、ドロリと濁った涙のように溢れ出した。
どの樹も精気を失い枝先までしんなりと項垂れている。
異変は木々だけではない。
並木に沿って流れる川が近頃ドブのような色に濁り、時折ひどい腐敗臭を放っていた。
目を凝らせば、腹を白く見せた小魚たちが、力なく下流へと流されていく。
「これは、ただ事じゃないわ」
サクラコが郊外エリアの、自治会長に急報すると、即座に調査隊が結成された。
メンバーは元ガードのベテラン、アレックス。
自治会の自警団に所属する若手、シャル。
そして、植物の守り手であるサクラコの三人だ。
サクラコもまた、厳しい自然の中で、身を立てるため護身術を修めており、足手まといになるつもりはなかった。
「よし、出発だ」
アレックスの号令とともに、三人は行動を開始する。
桜並木までは、徒歩でわずか十五分ほどの距離だ。
しかし、目的地に近づくにつれ、空気は重く沈み、例の悪臭が鼻を刺すようになる。
「本当にひどい匂いだ。なあ、これはどこかの温泉地で嗅いだことがあるぞ」
シャルの言葉に、サクラコも記憶を探る。
「……確かに。トクノの秘湯で嗅いだ硫黄の匂いに似ているわ。でも、あちらはもっと生命の躍動を感じる香りだった。これは、もっと毒々しい……」
針葉樹の林を抜けると、変わり果てた桜並木が姿を現した。
「確かに元気がない感じがするな、花もしんなりしている」
驚いたアレックスが不用意に、樹皮へ手を触れると、抵抗もなくベロリと表面が剥がれ落ちた。
中からドロリとした粘り気のある樹液が滴る。
「なんだこりゃ?」
「アレックス、触らない方がいいかも」
サクラコの制止に、彼は慌てて手を引いた。
先ほど樹液に触れた後、指先に奇妙な痒み生じていたのだ。
幸い、ブリテインに戻って、すぐに水で洗い流したところ、症状は速やかに治まった。
命を脅かすほどの即効性はないようだが、この「不快な反応」こそが、桜が内側から蝕まれている何よりの証拠だった。
この桜をこの地に根付かせるため、自治会の人々がどれほどの苦労を重ねてきたか。
皆の思い入れが詰まった宝物だ。
だが、目の前の惨状に、サクラコの心には無力感が広がっていく。
「アレックス、原因はきっとあの川よ。川の水が汚染されて、土壌ごと木々を蝕んでいるんだわ。ほら、あっちの雑木も……」
三人が周囲を調べると、桜以外の木々も一見普通に見えてその内部はぶよぶよに軟化し始めていた。
「アレックス、この先に何かある。水源を調べたほうが良さそうね」

「ああ、同感だ。放っておけば、この森全体が死に絶える」
サクラコの脳裏に、ひとりの人物の顔が浮かんだ。
トクノのゼントに住む、高名な植物学者トミタロウだ。
「私、知り合いの植物学者に会ってくるわ。この木々を救う知恵を貸してくれるはずよ」
「頼んだぞ。俺とシャルで、この毒水がどこから流れてきているのか、上流を突き止めてみせる」
「よろしくね」
サクラコは、原因究明の鍵となるであろう変質した枝と落ち葉を慎重に採取瓶に詰め込んだ。
仲間と視線を交わし彼女はムーンゲートがある街の方角へと走り出した。
◇◇◇
サクラコと別れたアレックスとシャルは、汚濁の原因を求めて川の上流へと分け入った。
川沿いの木々は、上へ進むほどその生命力を奪われ、無惨に項垂れている。
しかし、ある地点を境に水面の濁りが消え、木々が本来の青々とした姿を取り戻した。
「この辺りだ。汚水の流入源はこの近くにあるはずだぞ」
アレックスが鋭い眼差しで周囲を射抜くと、シャルが不自然にたわんだ茂みを指差した。
「アレックス、あの茂みの奥……何か隠されていないか?」
二人が慎重に草木をかき分けると、そこには闇を飲み込んだような巨大な横穴が口を開けていた。
足元には、あの鼻を突く悪臭を放つ泥水が絶え間なく流れ出している。
この洞穴が、桜を、そして川を殺している元凶に間違いなかった。
何が潜んでいるか分からない。
二人は気配を殺し、抜き足差し足で洞内へと足を踏み入れた。
幸いにも空気の流れはあり、酸欠の心配はなさそうだ。
だが、奥へ進むほどに獣特有の脂臭さとあの硫黄に似た刺激臭が混じり合い、肺を刺す。
「アレックス、この臭い……覚えがあるぜ。オークだ」
シャルの囁きに、アレックスが低く応じる。
「ああ。連中は穴を掘り、地中を這い回るのが得意だからな……」
オーク。
一定の知能を持ち、独自の言語と道具さらには粗野な魔法さえ操る邪悪な種族だ。
人間を捕食の対象として見る彼らは、近隣住民にとって最も警戒すべき討伐対象である。
さらに深部へ進むと、岩を砕く無機質な音と、濁った咆哮のような話し声が響いてきた。
いま進んでいるこの細い水路はどうやら連中が意図的に作った「排水溝」のようだ。
運良く見張りの目からは外れているが、この先の広間に出れば、無数のオークに包囲されるのは目に見えている。
二人は壁に背を預け、広間の様子をわずかに覗き見た。
「……なんて数だ」
アレックスが息を呑む。
そこでは数十体ものオークが、狂ったように壁面を削り取っていた。
掘り出されたのは不気味な鈍色に光る未知の鉱石。
連中はそれをトロッコに山積みにし、忙しなく運び出している。
採掘の過程で砕かれた鉱石の塵が地下水と混ざり合い、汚水となって外へと垂れ流されているのだ。

「ただの住処じゃない。連中、組織的に鉱山を運営していやがる……」
これほどの規模となれば、自警団の手に負える相手ではない。
「一旦引くぞ。自治会を通じて、腕利きの冒険者たちに討伐を依頼するしかない。一刻も早くな」
二人は、背後に渦巻く邪悪な熱気と槌音を振り切るように、一気に洞窟を駆け抜けた。
◇◇◇
サクラコは休む間もなくトクノ諸島の中心地ゼントへと向かった。
目指すは町のはずれ、静かな竹林に囲まれた植物学者トミタロウの隠居所だ。
一見すると周囲の家々と変わらない佇まいだが、一歩足を踏み入れれば、そこは別世界だった。
天井まで届く棚には、ブリタニア全土から集められた希少な植物が、あたかも意思を持っているかのように瑞々しい葉を広げている。
「トミタロウさん、サクラコです」
「サクラコちゃんお久しぶり。あの桜たちは、元気に咲いているかな?」
トミタロウの穏やかな問いかけに、サクラコの顔が曇った。
「今日はその事で……」
彼女は事の顛末を語り、採取瓶に封じられたサンプルを差し出した。
トミタロウは鋭い眼差しでそれを見つめ、低く呟いた。
「……これは、よろしくないね。鉱毒の類だ。ちょっとそこに掛けて待っていなさい」
一人残されたサクラコが、差し出された茶を口にすると、清涼感のある不思議な香りが鼻腔をくすぐった。
これまでに数多くの銘茶を嗜んできた彼女でも、初めて知る深く澄んだ味わい。
本来ならその正体を尋ねたいところだったが、今の彼女の心は、滅びゆく桜のことで占められていた。
「サクラコちゃん、お待たせ。結論から言おう」
部屋に戻ってきたトミタロウの表情は硬かった。
「やはり原因は未知の鉱毒だ。地下深くから強引に掘り出された不純物が、根から吸い上げられ、木を直接蝕んでいる。……普通の薬草や魔法では、もうどうすることもできない」
「そんな……。じゃあ、枯れるのを待つだけなんですか? せっかく皆で、あんなに大切に育ててきたのに……っ」
脳裏に、寒風に耐えて苗木を守った日々や、初めて小さな蕾を見つけた時の自治会の人々の笑顔がリプレイされる。
堪えきれず、大粒の涙が頬を伝い、床に落ちた。
「一か八かだが、道はある。『花の妖精』の力を借りるんだ」
「妖精……?」
トミタロウの話によれば、自然の理を超えた汚染を浄化できるのは、太古より森を見守る上位妖精だけだという。
「私もかつて、彼らに救われたことがある。彼らのリクエストに応えることができれば、奇跡は起こるだろう。ただ、妖精の住処は危険な場所も多い。もし手に余るようなら、迷わず冒険者の力を借りるんだよ」
トミタロウから妖精の居場所を、託されたサクラコは、ゼントにある馴染みの「冒険者の店」へと駆け込んだ。
そこは多種多様なバルクオーダーが並び、生産者たちの活気で溢れる場所だが、今は一刻を争う。
彼女は店奥に静かに佇むベンダーに軽く会釈をすると、壁際に並ぶ膨大な数の「ルーンブック」へと手を伸ばした。
「ルーンステーション、お借りします!」
指先で背表紙をなぞり、目的の文字を探す。
「あった……ヒスロス!」
目的地への道程は決して平坦ではなかった。
森の影から襲い来るモンスターを退け、サクラコがようやく辿り着いたのは、神秘的な静寂に包まれた巨木のふもとだった。
ユーの森を彷彿とさせるその巨木こそが、花の妖精の依代だ。
「花の妖精さん、いらっしゃいますか?」

呼びかけに応じるように、空間が微かに揺らぎ光の粒が集まっていく。
現れたのは、想像よりもはるかに存在感のある、凛とした佇まいの妖精だった。
「妾が花の妖精である。か細き人間よ、何用かや?」
サクラコがこれまでの異変とトミタロウから託された言葉を伝えると、妖精は小さく鼻を鳴らした。
「なるほど。トミタロウに教えてもらったのだな。あやつ、植物絡みで難題が出れば全て妾に解決させようとしおって、調子のよい奴だ」
妖精が考えに耽り始めたその時、静寂を切り裂くような無粋な足音が響いた。
現れたのは、巨大な斧を担いだオークチョッパーの群れだ。
連中は迷うことなく神聖なる巨木に斧を叩き込み始めた。
突然の出来事に、妖精とサクラコは驚き固まった。
「貴様ら、神木になにを……!」
妖精が怒りに声を震わせた瞬間一体のオークが濁った声で言い放つ。
「コノキ ヒツヨウ。ボウガイ スルナラ ハイジョ」
「オークが人の言葉を……!?」
驚愕するサクラコの目の前で、殺意に満ちた斧が妖精へと振り下ろされる。
しかし、刃が妖精に触れるよりも早く、一閃の光が闇を切り裂いた。
「させない!」
サクラコの剣が、オークの太い腕を捉える。
凄まじい衝撃と共に腕が宙を舞い、赤黒い血飛沫が周囲の草花を汚した。
サクラコは流れるような身のこなしで地面に倒れ伏す前の二体目、三体目を瞬く間に斬り伏せる。
彼女が日々研鑽を積んできた護身術は既に「身を守る」レベルを遥かに超越していた。
「見事な剣筋じゃ。助かったぞ、サクラコ」
「……当然のことをしたまでです。聖なる場所を汚す輩を許すわけにはいきません」
妖精は満足げに頷くと自らの胸元から溢れ出す光を手のひらに集めた。
「そうだ。礼として、これを授けよう。浄化の種じゃ」
手渡されたのは、手のひらに収まるほど小さな、眩い光を放つ種だった。
「これは……」
「それを汚染された木の根元に植えるがよい。蝕まれた木を本来の姿へと呼び戻すであろう」
「なるほど」
サクラコは小さく頷くと、種を大切にバックパックに収納した。
それは単なる種ではなく、凝縮された生命エネルギーの塊。
手にしているだけで心が洗われるような、慈愛に満ちた温かさだ。
「もし、正常に戻ったら、強力な苗木を授けよう。それならば、周辺の木々は全て元気になるだろう」
「承知しました。早速植えてみます」
サクラコは再び襲撃者が現れないか、鋭い視線で周囲を警戒しながら、希望の光を抱いてブリテインへの帰路を急いだ。
ブリテインへと舞い戻ったサクラコは一刻の猶予もないと判断し、そのまま桜並木へと直行した。
そこには、水源の調査を終えたばかりのアレックスとシャルの姿があった。
二人の表情は険しく、深刻な面持ちで話し込んでいたが、サクラコの姿を認めるとアレックスが声を上げた。
アレックスがサクラコに気づき声をかける。
「サクラコじゃないか! 無事だったか。トミタロウには会えたのかい?」
「ええ、会えたわ。それに、これを見て……!」
サクラコは二人に事の顛末をかいつまんで話すと、バックパックからあの種を取り出した。
並木の中でも、特に黒ずみが激しく死を待つばかりのように項垂れている一本の桜。
サクラコは祈るような気持ちで、その温かな光の塊を土へと埋めた。
効果は劇的だった。
植えた瞬間、地面から淡い桃色の光が溢れ出し毛細血管のように根を伝って幹へと駆け上がったのだ。
「……見て! 光ってるわ!」
サクラコが声を上げる。
光が通り過ぎた後、ぶよぶよだった樹皮は瞬く間に健康な赤みを帯び、どす黒い樹液は浄化されて透明な雫へと変わった。
周囲の数本もその光に共鳴し、見る間に精気を取り戻していく。
「信じられん……死にかけていた木が、生き返っていくぞ」
シャルの驚愕の声。サクラコは確信を持って頷いた。
アレックスの口から語られたのは、上流の洞窟で目撃したオークたちの組織的な採掘活動だった。
「ただの汚染じゃない。連中は組織的に鉱石を掘り出し、その毒を垂れ流しているんだ。自治会の手に負える規模じゃない。今こうしている間にも、上流からは新たな毒が流れてきているはずだ」
事態は明白だった。
木々を救うための「浄化」と、毒の源を絶つ「討伐」。
この二つを同時に完遂しなければ、桜並木に未来はない。
「アレックス、私はこれから広報官室へ行って、腕利きの冒険者たちを募るわ」
「頼んだぞ。俺とシャルは自治会長に会い、正式な討伐隊の編成許可を頼んでくる。連中をこれ以上野放しにはさせない」
調査隊は力強く頷き合い、再び二手に分かれた。
サクラコの足取りは、先ほどまでとは違い、希望に満ちていた。
手には、花の妖精が約束した「さらに強力な浄化の苗」を受け取るための覚悟。
そして胸には「あの美しい桜を再び満開にする」という、不退転の決意が宿っていた。
※終了後、イベント当日のセリフを掲載しますので、全体のストーリーをお楽しみいただけます。
この記事は、イベントを企画している「イベントモデレーター」のブログのページを引用しています。
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