王立広報室・広報官のリシオです。
今回は、メネイエル様とコン太君からの依頼です。

事の発端は、コン太君のお母様が『ダゼル』という化け物に捕らえられてしまったことです。
お母様は幼い子供たちを身を挺して守り、敗れてしまいました。
ダゼルは子キツネなど、か弱い存在ばかりを執拗に狙う極めて卑劣なモンスターであり、他にも犠牲となっている子たちがいる可能性が高いのです。
すぐにでも救出に向かいたいところですが、一つ厄介な問題があります。ダゼルは意外なほど慎重な性格をしており、自分が勝てない強者が近づくと、決して姿を現しません。
そこで、皆様の強さを隠しつつ奴を誘き出すための『罠』を張ることにしました。
与力の綾瀬様が所有する『オーラリー装置』を使い、子キツネの幻影を大量に映し出し、奴を誘き出す作戦です。
しかし……あろうことか現在、その肝心の装置がクリドラの群れに奪われてしまっているのです。
皆様にお願いしたいのは、作戦の要となるこの『オーラリー装置』をモンスターの巣窟から取り戻し、卑劣な化け物の手からお母様を救うためには、皆様の力が必要です。
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◆開催日時:7月26日(日)21:00~ ※開始時間にご注意!
◆集合場所:Britain広場
※集合場所付近はリコールできないようになりますのでご注意ください。
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注意事項:
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
- イベント進行の妨害、かく乱行為。
- EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!
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プロローグ
ここはブリテイン王立広報室。
名称こそ「広報」と名乗っているが、その実態は情報収集や市民のお困りごと解決を最優先とする、いわゆる「よろず請負部署」である。
今日も室長のネコマタコが、香り高い茶をカップに注ぎ、優雅な朝のひとときを堪能していた。ただ一ついつもと違うのは、空いた片手に物騒な『吹き矢』を握りしめていることだろうか。
「室長、それは吹き矢ですか?」
リシオがジト目で視線を向けると、室長はピンと耳を立てて吹き矢を指さした。
「そうだにゃ。ゼントの夏祭りで手に入れたにゃん」
「夏祭りですか! いいなぁ、僕も行きたかったですよ。あの具が極端に少ない安っぽい焼きそばと、かき氷の組み合わせが最高なんですよね」
「……すごい組み合わせだにゃ」
室長は心底嫌そうな、ドン引きした表情を見せた。
無理もない。リシオの味覚、とりわけ食べ物の「組み合わせ」に対するセンスは、控えめに言って独特なものがある。
一例を挙げよう。
トクノエリアの名産に「たくあん」という大根の漬物があるのだが、リシオの最大の好物はこのたくあんと「牛乳」の組み合わせである。
彼曰く「たくあんのコリコリとした食感に、牛乳の濃厚さが絶妙に絡み合い、噛めば噛むほど塩分が溶け出して最高に旨い」らしい。
かつてそれを嬉々として熱弁された際、室長とマーキュリ先輩は揃って顔を引きつらせていたのだが、当のリシオ本人は未だにそのドン引き具合に気づいていなかった。
「組み合わせと言えば、今日は例の記者の人はいないようですね」
「……にゃ?」
室長はカップを片手に首を傾げた。
「たくあんと牛乳の凶悪な組み合わせ」から、一体どう脳内変換すれば「タウンクライヤー紙の記者・サラ」に繋がるのか。その強引すぎる話題転換にひどく苦慮したからだ。
「いや、見えないだけで、少し離れた茂みからこっちを見張っている気がするにゃ」
「しつこい人ですね」
「まったくだにゃ。あとでまた駆除用の煙でも焚いて……いや、せっかくだから吹き矢の試し撃ち……」
「煙? 吹き矢の試し撃ち?」
「なんでもないにゃ」
しれっと目を逸らすネコマタコ。
リシオは妙なところで勘が鋭いところがある。それは決して悪いことではないのだが、その鋭さを発動させるタイミングが常に絶望的であった。
室長の不穏な言葉をこれ以上追及していいものか迷ったリシオは、不意に何かを思い出したかのようにポンと手を叩き、再び話題を切り替えた。
「ところで室長。先月の悪魔アルベルトの件ですが、無事にハテナさんの故郷へと移送されたんですよね?」
「移送はされたけど、ひと波乱あったにゃ」
室長は、珍しく険しい表情で語りはじめた。
彼女は悪魔の移送を見届けるため、森の賢者亭へ出向いたという。多くの常連客が見守る中、ハテナ自身が特別な呪文で次元のゲートを開き、悪魔の入ったクリスタルアークを抱えたセドラがいざ足を踏み入れようとしたその瞬間。
どこからともなく、広報室の先輩であるマーキュ・リが現れたそうだ。
そして開口一番、その世界に「ドラゴンは存在するか」と尋ね、ハテナとエックスが頷いたのを見るや否や、マーキュ・リも一緒にゲートへと飛び込んだらしい。
最後に「室長、出張手当をよろしく!」というちゃっかりした言葉を残して。
「先輩はなぜ賢者亭に……?」
「奴の行動は、私にもさっぱり分からないにゃ」
「先輩はうちに滅多に来ませんが、ちゃんとお給料は貰ってるんですよね?」
「も、勿論払ってるにゃ。奴は特派員として、各地を回ってもらっているにゃ」
室長は引きつった苦笑いを浮かべた。
それは「細かいところまで突っ込むな、空気を読め」という上司からの無言の圧力だった。
しかし、リシオは絶望的に空気を読まずに質問を続ける。
「最近は僕も慣れましたけど、先輩の場合は明らかに『異世界』に行ってますよね? それって規定上、出張になるんですか?」
「いや、その、なんだにゃ・・・」
「しかも、先輩は完全に個人の趣味である『ドラゴン探し』のために動いてますよね? 職務怠慢では?」
リシオの情け容赦ないド正論に、室長は珍しくたじろぐ。が、ここで天才的なインスピレーションを得た。
「……リシオ。まだまだ甘いにゃ」
「えっ。何か深い事情が?」
「ここは、なんと言う部署にゃ?」
「王立広報室ですが」
先ほどまでのしどろもどろが嘘のように、室長は自信に満ちたドヤ顔を浮かべた。
「そう。ここは王立の部署。つまり、王様から直接『密命』を受けることもあるのにゃ」
「そうだったのですか!」
今までそんな話をほとんど聞いたことがなかったリシオは、心底驚いた。
彼が広報室に入ってそれなりに年数が経つが、請け負うのは冒険者への依頼の仲介ばかり。
確かに依頼人の層は特筆すべき凄腕や人外の者が多いが、王室からの直々の依頼など数えるくらいしかないのだ。
「そうにゃ。王様は密かにドラゴンの可能性を探っていて、マーキュ・リは秘密裏に各地へ探りを入れに行っているのにゃ」
「なるほど! 先輩にそんな重大な任務が課せられていたのですね。てっきり、ただの趣味でミズホという世界へ遊びに行っているだけだと思ってました」
「これはトップシークレットだから、他言無用にゃ」
(チョロいにゃ……)
やっとリシオが納得してくれたことに、室長は密かに安堵の息を吐いた。
その時、広報室の扉が勢いよく開かれ、そこには一人の女性と、一匹のキツネの姿があった。
見覚えのある顔だと認識し、リシオが立ち上がる。

「これは、メネイエル様。そのキツネは新しいペットですか?」
現れたのは、天界から落ちて戻れなくなっているという規格外の女神、メネイエルであった。
「ここの子はペットじゃない。コン太」
ボッ! と煙が上がり、キツネだったコン太が瞬時に人の姿へと化けた。
「コン太です。今日は依頼があってきました」
「ば、化けキツネ!?」
実はリシオ、キツネが人の姿へ変化する瞬間を生で見るのは初めてだったため、目を丸くして大層驚いた。
「し、失礼しました。詳しいお話を伺いますので、二階の応接ブースまでどうぞ」
「今日はみゃーも同席するにゃ」
◇◇◇
ここは、トクノの森の奥深くにある、とある化けキツネの巣。
薄暗い穴の中で、コン太は母の帰りを一匹寂しく待っていた。
他の兄弟たちは既に立派に巣立ちを終えており、巣に残っているのは末っ子のコン太ただ一匹。
しかし、頼みの綱である母キツネがここ十日近く帰ってこず、コン太はすっかり心細くなっていた。
コン太自身も少しばかりの狩りはできるようになっており、最低限、一匹で食いつなぐことはできる。
しかし、まだまだ母に思い切り甘えたい盛りの年頃なのだ。
「今日も帰ってこないコン……。心配だなァ」
思わず声をだし呟くコン太。
最近、トクノの周辺では『幼い子が神隠しのように拐われる』という物騒な噂を耳にする。
母は力のある大人の化けキツネではあるが、何か恐ろしい事件に巻き込まれたのではないかと、コン太の小さな胸は不安で押し潰されそうであった。
翌日。
待ちくたびれたコン太は、ついに自ら母を探しに行く決心を固めた。
微かな母の香りを頼りに住み慣れた森を抜けたところで、その痕跡はぷつりと途絶えてしまった。
それでも勇気を振り絞ってさらに先へと進むと、やがて人の住む賑やかな町が見えてきた。
(ここは確かゼントだったかな。人の町に入るときは、ちゃんと変身しないとね)
コン太は、かつて母に教わった通りに変化の術を使う。ポンッとわずかな煙が上がり、それが晴れると、そこには可愛らしい人間の男の子の姿があった。
ただ、まだ変身の術が完璧ではないため、お尻から小さなキツネの尻尾がひょっこり飛び出してしまっているのだが——本人はまったく気にしていなかった。
トコトコと町に入ったコン太は、不思議な飾り付けを目にして足を止めた。
町の中心部にある広場に、立派な笹が大量に飾られており、そこに色とりどりの小さな紙が括り付けられていたのだ。
町の人々が、その紙に何やら熱心に書き込みをしては笹に吊るしている。
不思議に思って覗き込んでみると、そこにはこんな言葉が並んでいた。
『大金が入りますように……』
『毎回リワードが出ますように……』
『与力の綾瀬が失脚しますように……』
『みやびの女将さんと遊びに行きたい……』
『三十周年でギャリ夫に会えますように……』
『邪神を暗殺できますように……』
『未知の植物が発見できる!』
『またサキちゃんが遊びに来てくれますように……』
切実な祈りから、生々しい欲望、果ては物騒な暗殺計画まで、多種多様な願望が笹の葉に揺れていた。
(人間って、いろんなお願い事をするんだなァ……)
コン太が目を丸くして眺めていると、そんな混沌とした短冊の群れの中に、ふと一枚の小さな紙を見つけた。そこには、たどたどしい文字でこう書かれていた。
『早くお父さんが帰ってきますように』
それは、一人ぼっちで母を待つ今のコン太の心境と重なる、純粋で切実な願いだった。
(ここに願い事を書くのかな……)
コン太も見よう見まねで『お母さんが早く帰ってきますように』と短冊に書き込み、笹に結びつけてから町をあとにした。
この時、コン太は「人間の町って面白いなァ」と心底思っていた。
たくさんの人々が行き交い、活気あるお店が立ち並び、屋台や食べ物屋があちこちにある。
化けキツネであるコン太は、耳も良ければ嗅覚も鋭い。人々の面白そうな会話もよく聞こえるし、美味しそうな匂いも森の中とは比べ物にならないほど豊富だった。
何より、こうして町に集まる様々な情報に耳を傾けていれば、母の行方につながる手がかりを得られるかもしれない。
それからというもの。次の日も、また次の日も、コン太は母の探索がてら町へ立ち寄っては新しい短冊に願い事を書き、町の様子を見て楽しむようになった。
そんなある日、コン太の頭に『ピン』とひらめき、ひとり呟く。
「そうだ! あの笹ごと持って帰って巣にいっぱい飾れば、もっと願いが叶いやすくなるかもだコン!」
コン太は人目を盗んではこっそりと広場の笹を引き抜き、自分の巣穴へと持ち帰るようになった。
せっせと笹を持ち帰ること数回。ある日の探索中、ついにコン太は、探し求めていた『母のはっきりとした香り』を森の中で捉えたのだ。
「願いが叶ったコン!」
コン太はちぎれんばかりに尻尾を振り、喜び勇んで母の香りをたどっていった。
そして、香りの行き着いた先。見慣れぬ別の巣穴へと飛び込んだコン太は、そこで予想外の光景に目を丸くして驚愕することになる。
巣穴の奥に広がっていたのは、予想だにしない凄惨な光景だった。
見たこともないおぞましい化け物と対峙するように、大人のキツネが立ちはだかっている。それはコン太が探していた母であった。

そしてその後ろには、コン太よりもさらに小さな子キツネたちが身を寄せ合い、ガタガタと震えていた。
身を挺して幼子たちを護っていた母が、ふと入り口に立つコン太の気配に気付く。
「コン太!? なんでここに!」
「かーちゃんを探してたんだよ!」
「ここは危ない! 早く逃げな!」
切羽詰まった悲痛な声。後ろで怯える小さな姿を見て、コン太は直感でピンときた。
あの子たちは、きっとお母さんの新しい子だ。どことなくお母さんの面影があるし、いわば僕の弟や妹たちに違いない。
(兄たちが巣立ってから、かーちゃんの姿を見なくなる日が増えたのはそういうことか)
その時、おぞましい姿の化け物がギョロリと濁った瞳を動かし、コン太の存在に気づいた。
「……チッ。お前は少し育ちすぎているな。肉が硬くて旨くなさそうだ。無駄死にしたくなければ、とっととあっちに行け」
地を這うような化け物の凄まじい気迫に、コン太は思わず尻尾の毛を逆立て、怖じ気づきかけた。
しかし、荒い息を吐く母の体を見ると、すでに痛々しい傷がいくつも刻まれているのが分かった。
(かーちゃんが危ない……。僕が、僕が守らなきゃ!)
ガクガクと震える足にギュッと力を込め、心の中で固く決心するコン太。
だが、彼が一歩前に踏み出そうとしたその時、母がことさら強い語気で叱りつけた。
「コン太! あんたは昔からドジなんだから、ここに居ても足手まといだよ! さっさと逃げな! かーちゃんなら、こんな奴どうってことないんだから!」
言い放つと同時、母の体がどろりと煙に包まれたかと思うと、目の前の化け物と瓜二つの恐ろしい姿となって突進した。
化けキツネは、相手の姿だけでなくその能力をも模倣することができるのだ。
己とまったく同じ姿の巨大な敵が迫ってくるという予測外の事態に、さしもの化け物も一瞬怯んだ様子を見せた。
「今だコン!」
その隙を見逃さず、コン太も弾かれたように駆け出した。
母の猛攻からわずかにタイミングをズラし、死角から化け物の足元へと決死の体当たりを食らわせる。
「コン太! ぐずぐずしないで、あの子達を連れて逃げな!」
「でも、かーちゃんが心配だよ!」
「いいから、言うことをお聞き!」
怒声を飛ばす間にも、母は容赦なく化け物に食らいつき、着実にダメージを与えているようだった。
(ひょっとしたら、かーちゃんなら勝てる……!?)
母の渾身の戦いぶりに一縷の希望を見出したコン太は、後ろでガタガタと震える幼い弟妹たちを促し、素早く巣穴の外へと連れ出した。
ここから一番近い安全な避難先は、あの『人間の町』だ。
森を駆け抜けながら、コン太は弟妹の中で一番大きな子に「人の姿に化けて町に入り、そこで待っているように」と急いで伝えた。
まだ幼く変化の術が使えない末っ子の妹には、「飼われているペットのフリをするんだよ」と固く言い聞かせる。
これはかつて、母から教わった生き残るための知恵だった。人間の町では、人の姿さえしていれば無闇に攻撃されることはないのだ。
「絶対に町から出ちゃダメだコン!」
弟妹たちが無事に森を抜けていくのを見届けたコン太は、やはり一人で戦う母の安否がどうしても気になり、踵を返して再び巣穴へと全速力で引き返した。
そして。
息を切らして飛び込んだ巣穴の中で待ち受けていた光景に、コン太は息を呑んで驚愕した。
「坊主、戻ってきたか。お前のかーちゃんは、ご覧の通りこのザマさ。変化した時は一瞬驚いたが、所詮は下級魔獣だな」
化け物の足下を見ると、そこには本来のキツネの姿に戻り、化け物の巨大な足の下で無惨に踏みつけられている母の姿があった。
化けキツネの能力変化は、所詮は表面的なモノマネに過ぎない。本物の持つ圧倒的な力の前には、到底敵わなかったのだ。
「コン太、あの子達を……頼んだよ……」
虫の息のような母のか細い声に、コン太は頭を殴られたようなショックを受けた。
「こいつを助けたければ、逃がした子キツネどもを連れてこい。悪いようにはしないさ」
「コン太、ダメだよ! こいつは食べる気だ。坊や達を絶対に連れてきちゃ――ギャッ!」
「やかましい。黙ってろ」
化け物が容赦なく母の腹に重い蹴りを叩き込む。あまりの衝撃に、母は声も出せずに気を失い、ぐったりと動かなくなってしまった。
「やめろぉっ! この化け物!!」
「ヒヒッ。俺には名があるんだぜ。蹴るのを止めて欲しかったら『ダゼル様』と呼べや」
コン太は口内に血が滲むほど強く歯を食いしばり、今にも爆発しそうな怒りを必死に喉の奥へと押し殺した。
(ダメだ、今の僕じゃ絶対に太刀打ちできない。落ち着くんだ……冷静に判断するんだ、コン太!)
もしコン太がすでに大人に成長していて、優秀な化けキツネであったなら。母と一緒に戦うことで、あるいは勝機を見出せたかもしれない。
だが、今はそんなタラレバを悔やんでも仕方がない。余計な感情を捨て去り、ギリギリのところで冷静さを取り戻したコン太は、屈辱に身を震わせながらも、次に浮かんだ言葉を絞り出すように口にした。
「ダゼル……さま。どうか、かーちゃんを助けてください」
自らをダゼルと名乗った化け物は、深い優越感に浸るように下劣な満面の笑みを浮かべた。
「よく分かってるじゃないか、コン太。俺もお前のことを信じて待ってるぜ。さぁ、早く連れてきな」
絶望的な約束を交わし、這うように巣穴から飛び出したコン太は、一路『ゼント』の街を目指して駆け出した。
まずは、町へ逃がした弟妹たちと無事に合流しなければならない。
弟妹たちの匂いをコン太はしっかりと覚えていたため、広い町の中でもすぐに合流することができた。
「お母さんは大丈夫なの? 兄ちゃん?」
「お前たち、名前はあるのか? 僕はコン太だ」
「俺はタ太。こっちは琴ネだよ」
タ太は、隣でうずくまって震えている小さな子狐を指さした。
「タ太、琴ネ。よく頑張ってここまで逃げてきたな。かーちゃんのことは僕に任せておけ。いい考えがあるんだ」
「兄ちゃん、かっけー!」
タ太は目をキラキラさせてコン太を見つめる。妹の琴ネも同様に、頼もしい兄へと尊敬の眼差しを向けていた。
力強く言い切ったものの、実は完全にノープランのコン太。
今の彼に思いつくことと言えば、広場にあるあの笹に願い事を書くくらいしかなかった。
コン太たちは町の広場へ移動し、短冊に切実な願いを書き込んだ。
(神さま。いるなら、どうかかーちゃんを助けてください。一生のお願いです……!)
目を閉じて心の中で強く祈った、その時。
「呼んだ?」
突然、背後から女性の暢気な声が聞こえ、コン太はビクッと肩を揺らして振り返った。
驚きのあまり、一瞬だけ変化が解ける。

「化けキツネだったか」
そこには、全身が淡い緑色の光に包まれた女性が立っていた。確かに神々しく見えなくもないが、唐突すぎてこの上なく怪しい。
「あんた、誰?」
人の姿に再び変化したコン太が問いかける。
「私はメネイエル。慈愛と灯火と忍耐の女神。わけあって下界に落ちてきたのだけれど……決して、ドジでポンコツで食いしん坊な女神ではない」
「そ、そうか……」
(また変なヤツに絡まれたコン……)
コン太は警戒レベルを最大に引き上げた。
「兄ちゃん、この人なに? なんかすごく危ない気がする……」
「タ太、目を合わせるな。この手のタイプは刺激しちゃダメだって、かーちゃんが言ってた」
ヒソヒソと弟と耳打ちを交わしてから、コン太は自称女神へと視線を戻す。
「ありがとう、メネイエルさん。お気持ちだけ受け取っとくよ」
「神前で嘘はつけない。あなた、さっき心の中で『かーちゃんを助けてください』って祈ったでしょ?」
「心のなかが読めるのか!? お前、さては凄腕の詐欺師だな!?」
詐欺師呼ばわりされたメネイエルは、ムッとして不満げに頬を膨らませた。
「それは心外。私は正真正銘の女神メネイエルよ」
「だったら証拠を見せてみろよ!」
「分かったわ」
メネイエルが短く応じると、彼女の頭上に神々しい光輪が現れ、ふわりと温かく淡い緑色の光を放ち始めた。
その光を浴びた瞬間、コン太は心身の疲労や恐怖がスーッと癒されていくのを感じた。タ太や琴ネも同様だったようで、先ほどまで怯えていた表情が嘘のように、すっかり安堵に満ちた顔になっている。
「これは……本物だ……」
コン太はぽかんと口を開けたまま、完全に固まっていた。
目の前の怪しい女性が『本物の女神』だと信じたコン太たちは、藁にもすがる思いで彼女にこれまでの事情を打ち明けるのだった。
「それは酷い。力を貸す。だけどその前に女将さんに相談」
メネイエルはコン太たち兄妹の安全を確保するため、自身の職場である『お宿みやび』の女将に掛け合うことにした。
事情を聞いた女将のナナセは快諾し、問題が解決するまで、みやびの空き部屋で兄妹を匿ってくれることになった。まだ幼く人の姿に化けられない末妹の琴ネは、表向きは「怪我をした保護キツネ」として預かられることになった。
コン太たちは、みやびに併設されているサケサカにいた。
ダゼルの目的は子キツネたちだ。コン太は一刻も早く母を助けに戻りたかったが、夜の森は視界が悪く危険が多い。
化け物に対抗する作戦も練らずに突っ込むのは愚策であると理解していたため、逸る気持ちを抑えてメネイエルの提案を受け入れ、今夜はみやびに泊まることにしたのだ。
見慣れた給仕の衣装に身を包んだメネイエルが、コン太たちに品書き(メニュー)を見せる。
「みんな、好きなもの注文して」
メネイエルが促すと、コン太たちは品書きに描かれた美味しそうな挿絵に目を輝かせ、あーでもないこーでもないと食べたいものを選び始めた。
「ねぇメネイエルさん、お酒って美味しいの?」
「子供は飲んじゃダメ」
即答されてしまい、コン太はあからさまに唇を尖らせて拗ねた。
「俺はキツネだから大丈夫だコン!」
コン太が強がると、タ太も「僕も飲みたい!」と言い始め、キツネの姿のままの琴ネまでもが小声で同調する。
「ダメなものはダメ。諦めなさい」
「……チッ」
舌打ちするコン太だったが、その後、湯気を立てる色とりどりの料理が運ばれてくると、お酒の一件など一瞬で忘却の彼方へ。
初めて食べる人間の世界の食事は、ほっぺたが落ちるほど美味しかった。
母は時おり人に化けては町の食堂に通っていたらしく、その時の「美味しい思い出話」を何度もしてくれていた。コン太も、一人前に化けられるようになったら絶対に町で食事をしようと夢見ていたのだ。
(かーちゃん、人間のご飯、すっごく美味しいよ……!)
不意に訪れた目標達成の喜びに、コン太は少しだけ目を潤ませながら料理を夢中で頬張った。
食後は、みやび自慢の広々としたお風呂で初めての入浴タイムだ。
すっかりお湯の温かさにほだされたタ太は、変化の術が解けてしまい、キツネの姿に戻ってふにゃふにゃにリラックスしている。琴ネに至っては、極楽気分で仰向けになり、ぷかぷかと湯船に浮かんでいた。
ナナセの粋な計らいで大浴場の一部を貸し切りにしてくれたため、メネイエルも一緒に入浴し、石鹸の泡立て方や湯船の浸かり方を優しく教えたのだった。
その後は、火照った体を冷やしつつ、あてがわれた客室の布団に並んで転がった。
優しくて強い母の思い出話をしながら、兄妹は寄り添って絆を深め合う。メネイエルも、ドジ……ではなく、天界でのちょっぴり笑える面白話を聞かせ、子どもたちの不安を和らげた。
いつしかスースーという寝息が重なり、温かな空気に包まれながら夜は静かに更けていった。
◇◇◇
翌日。
コン太はメネイエルを連れて、母が囚われている巣穴へと向かった。
「おかしいコン……。昨日は確かにここにいたのに……」
「周囲を索敵しても、ダゼルの反応は全くない」
警戒しながら周辺をくまなく探したが、結局化け物は姿を見せなかった。
その代わりに残されていたのは、地面に無造作に落ちた『血の付いたキツネの毛』だった。生々しいその匂いからして、母のものであることは間違いない。
「これは、ダゼルからの警告」
「俺もそう思うコン……」
血の付いた毛を握りしめ、コン太は悔しげに顔を歪めた。
ただ、メネイエル曰く、直前までダゼルがここにいた気配は色濃く残っているという。
下界に落ちて神としての権能を失いつつあるとはいえ、メネイエルが放つ神気は、コン太から見ても尋常ではない力だと肌で感じていた。
それはきっと、ダゼルから見ても同様だったのだろう。
得体の知れない強力なオーラを持つメネイエルを警戒し、あえて直接対決を避けて姿を隠したのだと、コン太は推察した。
「わざわざ、かーちゃんの毛を残していくってことは……」
「子キツネ以外を連れてきたら、母親の命の保証はしない。そういう陰湿なメッセージ」
ややあって、メネイエルが口をひらく。
「……一旦、みやびに戻って作戦会議しよ」
メネイエルは静かにそう告げ、最善の策を練り直すべく踵を返し、コン太が後に続く。
みやびに戻ったコン太達は、女将のナナセに事の顛末と状況の報告を行った。
ナナセは腕を組み、何かを思い出すかのように考え込んでいたが……ふと、コン太の弟妹たちへと視線を向けた。
彼らは部屋の隅で、笹に飾られた七夕飾りの『星』をつついて無邪気に遊んでいる。
それを見た瞬間、ナナセの頭に天啓が閃いた。
「星だわ!」
「びっくりしたコン!?」
「……同じく」
重い沈黙を破るナナセの突然の大声に、コン太は尻尾の毛を逆立てて飛び上がり、メネイエルも目を丸くして驚いた。
「ごめんなさい。でも、すごくいいことを思いついたの。星の動きを示す機械式の模型があるんだけど……」
「ファンタスマゴリック・オーラリーね」
ナナセの言わんとしている意味を即座に理解したメネイエルは、それが現在どこに保管されているのかを尋ねる。
「ええ。綾瀬様が持っているのよ」
「奉行所で与力をしてる人ね?」
メネイエルの問いに、深く頷くナナセ。
ポンポンとテンポ良く進む二人のやりとりに、完全に置いてきぼりを喰らっていたコン太は、目を白黒させながら心の中で呟いた。
(この人たちはいったい、何について話しているんだコン……?)
ポカンとしているコン太の表情に気づき、ナナセが優しく微笑みながら概要を説明してくれた。
『ファンタスマゴリック・オーラリー』は、本来は星の動きを立体的に示す精巧な機械式の装置だが、実は他の使い方もできる。装置にセットする「星」のパーツを、別のものに入れ替えることが可能なのだ。
与力の綾瀬は、奉行所で定期的に寺子屋を主催しており、そのオーラリー装置を使って様々な生物や植物の幻影を壁や天井に映し出し、子供たちに教えているのだという。
「なるほど! そのパーツを『子キツネ』に変えれば、大量の子キツネの幻影を映し出せるってことだね!」
「その通りよ、コン太君。察しが良いわね」
理解の早いコン太を褒め、ナナセが優しく頭を撫でる。
すると、褒められたのがよほど嬉しかったのか、あるいは安心したのか、コン太の頭から『ポンッ』と本物のキツネの耳がひょっこり現れてしまった。
「よし、善は急げ。さっそく奉行所に行こう」
ピコピコと動く可愛らしいキツネ耳にはあえて突っ込まず、メネイエルは立ち上がると、コン太を連れて綾瀬のいる奉行所へと向かった。
道中、メネイエルはコン太に、奉行所という場所が人間の町においてどのような役割を果たしているのか、そして大名を中心としたこの国の仕組みについて、丁寧に噛み砕いて教えた。
母親から「人の町に入るならルールを守れ」と断片的に聞いていたコン太は、メネイエルの説明によって、その教えの本当の意味や町の構造が「点と点が繋がった」かのように理解でき、深く納得した様子であった。
一通りの説明を終えたタイミングで、二人は奉行所の門前に到着した。
コン太はその威圧感に思わずメネイエルの後ろに隠れたが、門番がメネイエルの顔を確認すると鋭い目つきから一転。すぐに綾瀬のところへ通してくれた。
メネイエルのゼントにおける「顔パス」ぶりの凄さを、コン太は肌で感じた。
「これはこれはメネイエル様。本日はどのようなご用向きで?」
綾瀬の部屋は畳敷きで立派だった。
彼は来客中のようであったが、メネイエルの突然の訪問に驚き、慌てて立ち上がった。
奥には、豪華な着物を金に糸を紡いだような気品ある女性が座っており、綾瀬はメネイエルの素性を知っているため、その女性を一旦待たせてメネイエルに対応しようとした。
コン太から見ても、その女性は尋常ではなく偉い方のように見えたのだが……。
「綾瀬、そちらの人間を待たせても大丈夫なの?」
「こちらは大名様のご息女である姫様にござります」
言って、綾瀬は深々と頭を下げて紹介し、ミツ姫に視線を移す。ミツ姫は優雅に会釈をした。
「メネイエル様、お初にお目にかかります。ミツにございまする。綾瀬とナナセから、女神様のお噂はかねがね」
「ミツ姫、私はメネイエル。慈愛と灯火と忍耐の女神」
「存じておりますとも、女神様。我が領地に住まわれていただき光栄にございます。父上も、ぜひ一度屋敷へとお招きしたいと」
大名屋敷への招待は以前からあったが、メネイエルはナナセの「宿みやび」の居心地と、ナナセの作るご飯を気に入っており、固辞し続けている。
「ゼントは住みやすいし、ナナセのご飯も美味しいから気に入っているわ。招待の件はまた今度。それより綾瀬、あなたに緊急の用事があるの」
「綾瀬、メネイエル様のご要望は必ず受け入れるよう、私からもお願いしますね」
「はっ! 心得ております、姫様」
メネイエルは、後ろに隠れていたコン太を前に引き出し、その正体と、ダゼルに母親が囚われていること、そして救出のために『ファンタスマゴリック・オーラリー』装置による幻影が必要であることを説明した。
コン太の事情を知り、ミツ姫は同情の眼差しを向け、綾瀬は装置の貸し出しを快諾してくれたが……その表情は思わしくなかった。
「綾瀬。何か問題でもあるの?」
「いや、その……、大変申し上げにくいのですが」
肝心のオーラリー装置が、なんと昨夜、何者かに奉行所の宝物庫から盗まれたというのだ。非常に高価で危険なものでもあるため、装置には魔力による追跡術式がかけられており、綾瀬はこのあと直々に捜索隊を率いて向かう予定であったらしい。
ミツ姫が奉行所に来ていたのも、その緊急事態について大名家としての関心と心配による見舞いであった。
「それなら、私とコン太が先に見に行くわ。追跡術式の信号があるなら、神の権能を使えば簡単よ」
「メネイエル様! 滅相もございませぬ。そのような危険な場所へ、女神様をご迷惑をお掛けするわけにはいきませぬ」
「そうです女神様。これは奉行所の、綾瀬の管理責任にございます。女神様の手を煩わせるなど……」
綾瀬は即座に精鋭の捜索隊を結成し、探しに行くという。しかし、コン太にとっては、これは一分一秒を争う母親の命がかかった問題だ。
メネイエルは時間がないことを強調し、綾瀬達の反対を押し切って、コン太と二人で先行して装置を探しに行くことになった。
メネイエル自身、今の自分は権能を失いつつあり直接的な攻撃能力は高くないと自覚していたが、索敵や隠密、そして神の気配による威嚇などを使えば、人間の捜索隊よりも遥かに早く、かつ穏便に解決できると信じていたのだが……。
「……これはアカンやつ」
「……俺も無理だコン」
目的地の近くに到着した途端、メネイエルとコン太は同時に驚愕し、その場に崩れ落ちんばかりに意気消沈した。
追跡信号が指し示す洞窟は、何者かが意図的に置いた巨大な岩で完全に塞がれており、奥に進むことができない。岩自体は、今のメネイエルの権能を少し使えば、なんとか動かせないレベルではなかったのだが……問題はそこではなかった。
岩の隙間から、洞窟の奥を覗き込んだ二人の視界に飛び込んできた光景は、まさに絶望的であった。
洞窟の奥は、無数に煌めく、そしてヤル気満々の殺気を放つクリドラの群れで埋め尽くされていたのだ。
「コン太、予定変更。一緒にブリテインへ行こう」
「ブリテイン? 遠いんじゃ……それに、そこに何かあるの?」
「あそこには『王立広報室』があるわ。そこに行けば、強力な『冒険者』たちに助けを求めることができる。……悪いけど、あれは今の私の手に負えるレベルじゃないわ」
メネイエルは神としての直感で即座に撤退を判断し、コン太を連れて広報室へと足早に向かった。
◇◇◇
広報室でメネイエルとコン太が依頼内容を話していたころ。
少し離れた茂みの中では、タウンクライヤー紙の記者・サラが『Spyglass(望遠鏡)』を片手に窓を覗き込んでいた。
「ふふん。これがあれば、離れたところからでも広報室の動きをバッチリ監視できるだがや。流石は天才記者のわたしだわ」
自画自賛しながら、サラは自慢の『読唇術』で室内の会話を読み取っていく。
「今回の依頼主は、自称女神と見慣れない子キツネだぎゃ」
サラは読み取った言葉をブツブツと声に出しながら、首から下げたメモ帳へ怒涛の速さで書き起こしていく。
「なになに……コン太の母を助けたい。与力の綾瀬が持っている『オーラリー装置』を取り戻したい……と。うーん、オーラリーってなんだぎゃ?」
記者を名乗るなら知っていて然るべき単語だが、サラは知識に著しい偏りがあるため仕方のないことであった。
「ふむふむ。いまはその子キツネの兄妹を、ゼントの宿屋みやびで預かっていて……あれ? 見えないだぎゃ」
Spyglassの向きを少し調整すると、不意に視界のど真ん中へ、室長の姿が割り込んできた。しかも、なぜかピンポイントでこちらの茂みを見下ろしているように思える。
「なんでこっちを見てるがや? さすがに気のせい……だぎゃ??」
なかなか窓辺から移動しようとしない室長に、サラは痺れを切らしてSpyglassの倍率を上げた。すると、彼女が吹き矢のようなものを手に持っているのがハッキリと見えた。
「ネコ・マタコは一体、何をする気だがや? ん?? あれを口元に持って行って……」
プッ。
その瞬間、サラの首元に『チクり』と鋭い痛みが走った。
「強力な虫よけ魔道具『虫くるな~ズ』を身に着けているというのに……最近のやぶ蚊は恐ろしい奴らだがや!」
サラは前回の反省を活かし、ショーパンのベルトに虫よけグッズをフル装備して万全の態勢で臨んでいた。それなのに刺されるとは、なんという凶悪な蚊か。
「……あれ? なんだか、また頭がクラクラしてきたがや……。急に、眠く……」
前回も似たようなパターンで気を失った記憶がフラッシュバックしたと同時に、サラは茂みの中へドサリと倒れ込んだ。
次第に薄れてゆく視界。泥のような眠気に抗いながら薄く目を開けると、そこにはいつの間にか外に出てきたネコマタコが、冷ややかな目で見下ろしていた。
「おのれ、ネコマタコ……。いつの間に……瞬間移動か……? おい……わたしの特ダネ……メモ帳を……」
【画像】
「あれほど盗み聞きはよくないと警告したはずだにゃ」
サラが恨み言を言い終える前に、その意識は完全に途絶えた。
手際よく特ダネのメモ帳を没収した室長は、気絶したサラを茂みの奥深くに足でぐいぐいと押し込んで外から見えなくすると、何事もなかったかのように優雅な足取りで広報室へ戻っていった。
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