王室広報官のリシオです。
本日はゼントにお住いのリクザエモンさんからの依頼になります。
依頼内容は2つ。
① 僻地に住んでいるキューピッドさんに会いに行きたいので、道中の護衛。
② 愛の告白メッセージ作りのお手伝い。
リクザエモンさんは、求婚の告白メッセージを作るのに苦戦しているそうです。
ちなみにお相手は、ゴーストのデロス君の母、サチさんです。
リクザエモンさんがメッセージを作ると下記のような感じになります。
「……貴女の瞳は何故そんなに私の心をとらへて離さないのか。サチ殿、私の胸ははち切れてつぶれてしまひさうだ。一體どうしたらいゝのかにて候」
近所に住んでいるちびっこの、小夏ちゃんや千秋ちゃんにもアドバイスを貰ったそうですが、納得のできるものでが完成しなかったそうです。
ポエマーの皆さまのお力添えをお願いいたします。
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◆開催日時:9月23日(火)21:30~
◆集合場所:Britain広場
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注意事項:
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
- イベント進行の妨害、かく乱行為。
- EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!
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プロローグ
王城が王の失踪で張りつめた空気に包まれているその頃。同じ街にある王室広報官室は、どこか牧歌的で緊張感ゼロだった。
机にタロットカードを広げて「うーん」と唸っているのは、室長のネコマタコ。
その姿を見て、部屋の隅から声が飛んだ。
「……室長、さっきから何を悩んでるんですか?」
問いかけたのは、いつまで経っても“永遠の新人”の肩書きを外せない男、リシオだ。ネコマタコは耳をぴくりと動かして、意味深な笑みを浮かべた。
「リシオ。もしかしたら、君に後輩ができるかもしれないにゃ」
「……え? タロットでそんなことまで分かるんですか? っていうか、仕事してくださいよ!」
どうやら室長は、屋台の常連であるナーマからタロットを教わって以来、すっかりハマってしまったらしい。
今では仕事前にカードを切らなきゃ気が済まない始末で、リシオの目にはただのサボりにしか見えていなかった。
「これは仕事だにゃ! ナーマちゃんの師匠はあの占い師ハテナ。その弟子直伝の占いなんだから、広報室にも役立つに決まってるにゃ!」
「……室長。それで王様の件が解決するなら認めますけどね」
「ふむ、それはちょっと難しいにゃ。何度占っても《魚の塔(リバース)》が出るのだ~」
「……そんな奇怪なカード、どこで入手したのですか」
リシオは額を押さえて深いため息をついた。
普通のタロットならリバースの「塔」はせいぜい小トラブルの暗示だが、室長が愛用する「お魚タロット」は説明からして意味不明。聞き出せば長話必至なので、スルーすることにした。
「みゃ~は天才にゃ! ミラクルなタロットを発見した者として後世に名を残すかもしれないにゃ」
入手ルートを明かさない室長。言動から察するにお店で売っている市販品ではないようだ。
「はいはい。それで後輩ができるというのは?」
そのとき、ノックの音。
続いて扉が開き、二人が同時に「あっ」と声を漏らした。現れたのは、よく顔を合わせる老人、リクザエモンである。
「リクザエモンさん、今日はどうされました? 鯉釣り大会の相談ですか?」
リシオが問いかけると、老人は静かに首を振った。
「いや、今回は私的なことでのう。冒険者の手を借りたいのじゃ」
その一言に、リシオの眉がぴくりと動いた。
リクザエモンが広報室を訪れるのは、いつも鯉釣り大会の季節だったはずだ。だが、大会は人口減少で休止中。それなのに、冒険者の助けが要るとは一体?
「なるほど……。詳しいお話をお聞きしましょう」
リシオはすぐに応接室へと老人を案内するのだった。
ー ー ー ー ー ー
ゼント銀行前の広場。
晴天の空を仰ぎながら、リクザエモンはひとり頭を抱えていた。数か月前にひょんなことから再会した、サチへの告白のメッセージがうまく浮かばないのであった。
「恐れながら申上参らせ候……あゝ、愛しきサチ殿。貴女の瞳はなにゆゑ、斯くも美しいのか……」
思いつき、呟いては首を振る。
どうにもキマらぬ。
サチとは、ゴーストのデロス君の母親で、リクザエモンが長年想い続けてきた女性。想いを告げる前に、デロス君の死がきっかけで、彼女は姿を消してしまったのだ。
それから歳月は流れ、今年の5月。醤油の件がきっかけで、運命はいたずらに再び二人を引き合わせた。森の賢者亭で再会したとき、老いた瞳は確かに笑っていた。
「……貴女の瞳は何故そんなに私の心をとらへて離さないのか。サチ殿、私の胸ははち切れてつぶれてしまひさうだ。一體どうしたらいゝのかにて候」
言っては「しっくりこぬのぉ」と発し、次のメッセージに思考を集中させるリクザエモン。
そんな思案に暮れる老人に、近くで遊んでいた小夏が気づいた。「暇つぶしを見~つけた!」思わずつぶやき、不敵な笑みを浮かべ、リクザエモンに近づく。
「なにそれ? ラブポエム? リク爺、真昼間から広場でブツブツって……、もしかして暇人なの? 無職なの?」
「はぁ!?」
失礼な物言いに思わず苛立ちを覚えるリクザエモン。
振り返れば、不敵な笑みの小夏が立っている。彼女は商家の娘で、物心ついたころから知っている子供だ。遠慮という言葉を知らぬ。
「……ったく、お主、失礼にもほどがあるぞ」
「だって暇そうだし。空見上げてポエムって、徘徊老人の最終形態でしょ? 痴呆かな?朝ごはん食べたの覚えてる?」
「なにを申すかッ!」
更なる煽りに、苛立ちを堪えながらも、自分に言い聞かせる。子供だ、相手は子供。どのように言葉を返すか、リクザエモンは小夏に睨みを利かせつつ、考えてみることにした。
無職呼ばわりに加え、徘徊老人扱いとはこの小娘、なんと容赦がない。
もっとも、漁師としての現役は引退している身。言われてみれば「無職」というのもあながち間違いではない。
(……いや待て。これは小夏なりの優しさかもしれんのぉ)
一瞬カッとなりかけた心をぐっと抑え、リクザエモンは自らに言い聞かせる。
ここで頭ごなしに叱るのは得策ではない。むしろ己の立場を説明し、単なる無職ではないと理解してもらうべき、リクザエモンはそう判断した。
「小夏よ、ワシは無職ではない。引退した漁師じゃが、いまだに弟子を取ったり漁を手伝うこともある。無職呼ばわりは勘弁してもらいたいのぉ」
「ふーん。じゃあリクザエモン元漁師って呼んであげる。無職よりマシでしょ?」
「……職業を後ろにつけるのはやめなさい!」
呆れ果てる老人に、小夏はさらに追撃する。
「で? 何を悩んでるの? さっきから見てて気持ち悪いよ。徘徊したあげく疲れ果て、空を見ながらお迎えを待っているようにも見えるし。小夏はリク爺の老後が心配だよ」
辛辣すぎる言葉に、リクザエモンのこめかみがピクリと動いた。
「既に老後じゃ! それよりもう少し優しく接してくれんかのぉ?」
「だめだよ。サキちゃんが言ってたもん。“お年寄りには厳しく接して脳に刺激を与えないと”って!」
「サキ……、だと?」
その名を聞いた瞬間、リクザエモンの表情が固まった。
思い当たる。例の屋台で何度か顔を合わせた、あの奔放な娘、サキ。なるほど、小夏の言動が変わったのも無理はない。
(昔は“リク爺、肩叩こうか?”とか“荷物もってあげるね”とか、素直で優しい子じゃったのに……。サキめ、子供に妙な知恵を吹き込みおってからに)
「それで何を悩んでるの?小夏でよければ聞いてあげるよ。ただし、相談料はもらうけどね」
「相談料……。小夏よ、友達は選んだ方がいいぞ……」
そこへ。
「小夏ちゃん、やっほー! リク爺になにされてるの? もしかしてかどわかされてる!? 僕が助けるよ!」
「千秋! やっほー!」
現れたのは小夏の友達、千秋。見た目は女の子のようだが、近所のよろず屋の息子である。
「リク爺がボケないようにね、小夏が話し相手してあげてるの」
「相変わらず優しいね。それもう介護だよね。僕も手伝ってあげる。もちろん相談料はガッツリいただくけど」
「お主ら……完全に詐欺の片棒じゃろうが!」
「えー? サキちゃんの教えは正しいよ? おかげでお小遣い増えたし」
「……は?」
リクザエモンは目を剥いた。どうやら例のパン屋娘、サキがこの二人に商売のイロハを叩き込んでいるらしい。
子供たちは胸を張る。
安く仕入れ、高く売る。マーケットリサーチも子供たちのネットワークを通じて行っているそうで、どんな物が人気で需要があるのか常に調べているらしい。
それと、商売には柔軟な発想が必要で、日常の中に商売のヒントを探せとも教わったようだ。そこで小夏は、普段からリクザエモンの話し相手になってあげていると思い、試しに有料化に踏み切ったようだ。
「なるほど、教えは立派じゃ。じゃがなぁ……、相手が望んでないことを行うのはよろしくない。しかも強引にお金を要求するのは法に反する行為じゃ」
「……そうなの!?」
二人は顔を見合わせ、急にしゅんとなった。
「違法行為はサキちゃんの考えにも反するから、やめるよ……」
リクザエモンは安堵して二人の頭を撫でる。だが心の奥で、セクハラと言われはせぬかとビクビクしていた。難しい時代である。
リクザエモンは、ふと気になることを思い出したように問いかけた。
「ところで小夏よ。あのサキがやっている仕組み…、利益の一部を上納していたりするのかな?」
「はあ!? サキちゃんは、そんなセコいことしないもん!」
小夏の声が一段高くなる。
どうやら彼女にとって、そこを疑われるのは心外らしい。
リクザエモンとしては、サキのことだから当然何割かは懐に入れているものと思っていたのだが、小夏の話によれば一切受け取っていないという。
むしろ「お小遣いが少なくて困っている子たちの助けになれば」と考えてやっているらしい。さらに驚いたことに、サキは子どもたちに《大人から身を守る術》まで教えているそうだ。
「……まったく、あやつは末恐ろしい娘じゃ」
リクザエモンは思わず背筋をぞくりとさせる。
気を取りなおした小夏は、にやりと笑ってリクザエモンを見る。
「で? 何を悩んでるの? さっき、とってもダサいセリフが聞こえてたけど。安心して、相談料とかは取らないから」
ようやく、いつもの小夏に戻ったと、リクザエモンは内心で胸を撫で下ろす。だがそれ以上に深刻なのは、リクザエモンのつぶやきが、思った以上に周囲に筒抜けだったらしいという事実だ。
(ま、まずい……! たぶんバンカーやタウンクライヤーにまで聞かれておったに違いない……!)
遅れてやってきた羞恥心が、老人の頬をじわりと赤く染めるのだった。
「まあよい。それよりも、ここで語るのもなんじゃ。甘味処にでも寄って話すとするか」
「やったー!」
飛び跳ねる小夏と千秋。
財布が心配になったリクザエモンは、空を仰いで深いため息をついた。
近くのお店に移動した三人は、ゼントで流行中の抹茶餅シェィクを注文し、ようやく本題に入ることにした。
「リク爺、餅を喉に詰まらせないように注意して話してね」
「いや、シゑィクじゃから大丈夫じゃろ。それよりワシはのぉ、告白がどうも苦手なんじゃ」
「シェィクね!」小夏が即座に訂正する。リクザエモンはうまく発音ができないようだ。
「それに告白なんて、誰だって緊張するもんだよ?」
千秋も、うんうんと真面目に頷く。
リクザエモンは女性を前にすると途端に固まってしまう癖があった。たとえ気心の知れたサチ相手でも、準備してきた言葉は頭から吹き飛び、真っ白になる。普通の会話はできるのに、告白だけはダメなのだ。
「それで、リク爺はどんなのを考えたの?」
「う、うむ……」
リクザエモンは顔を赤らめながら、渾身のメッセージを口にした。
「恐れながら申上参らせ候。あゝ愛するサチよ。貴女の目は何故そんなに美しいのか。何故、私の心をとらへて離さぬのか。サチよ、私の胸ははち切れてつぶれてしまひさうだ。一體どうしたらいゝのかにて候」
固まる小夏と千秋。
時間が止まり、静寂が辺りをつつむ。
先に沈黙を破ったのは千秋だった。
「リク爺、それって滅んだ古代文明の言葉じゃない? 申上参らせ候って、候ってなに?」
「そうそう! ていうか“ナウイ”って言葉より古いでしょ。時代錯誤にもほどがあるよ!一瞬、本当にボケたかと思って心配になったし!」
「なっ!? ナウイは比較的最近のものじゃろ!?」
「「死語!!」」
二人同時のツッコミが店内に響き渡る。
「……お前さんたちとは、時間の流れが違うようじゃのぉ」
頭を抱えるリクザエモン。
二人から多くのダメ出しをもらいつつ、アドバイスをもらうリクザエモン。結果的に若干近代化されたメッセージが出来上がったが、それでも二人から合格をもらうことができなかった、そんなとき。
「あれ、リクザエモンさんじゃないですか。何をされているのですか?」
軽やかな声が店内に響き、視線を向けると三人の女性の姿が見えた。
声の主は、ナーマで真の姿はブラッドワーム。その後ろに見えるのは龍族のドラ子、エルフの姿をしているのがレミエルで、その正体は天使である。
三人とも、森の賢者亭の常連客で、リクザエモンとは顔見知りであった。
「ナーマではないか。今は…、反省会のようなもんじゃ…」
「ほう、確かにそのハゲ頭はジジイだな」
「まだ生きていらしたのね、リク爺」
遠慮の欠片もない辛辣な言葉が飛ぶ。ドラコとレミエル、相変わらず容赦がない。
「ナーマちゃんは歓迎じゃが……、面倒なのがさらに増えおったのぉ」
リクザエモンは眉をひそめた。横で小夏が目を丸くしている。
「リク爺! サチさんがいるのに浮気はよくないよ!」
小夏と千秋は三人とは初顔合わせだ。
「浮気なんてしておらん! そもそも、まだサチさんとのお付き合いすら始まっておらんぞ! あやつらは屋台の厄介な常連客じゃ!」
必死の弁明に、小夏と千秋は同時に小首をかしげた。屋台のことはサキからそれとなく聞いていたが、客層については詳しく知らされていない。
小夏とリクザエモンのやり取りを見て、ナーマが微笑みながら口を開く。
「私たちは抹茶餅シェィクで女子会をしようと思って来たんです。リクザエモンさん、仲良くお話しているそちらのお二人は、お孫さんですか?」
その一言に、間髪入れず小夏と千秋の声が重なる。
「「違います!」」
店内に響いた抗議の声。続いてドラ子が口角を吊り上げ、にやりと笑う。
「孫じゃねぇってことは……ジジイ、誘拐したのか?」
その目は完全に犯罪者を見るものだった。さらにレミエルが冷ややかな視線を投げる。
「不潔ですわね」
「……まったく、好き勝手言いおって」
リクザエモンは呆れながらも、ここに至るまでの経緯を三人に説明することにした。
話し終えると、小夏が補足するように口を挟む。
「そうなの。リク爺はサチさんへの告白メッセージがうまく作れないんだよ」
「ぷっ……!」
ドラ子が吹き出した。タイミングよく店員がやって来て、全員分の抹茶餅シェィクが並ぶ。
「お待たせしました。本日はサービスで、きな粉と黒蜜もお付けしております。ご賞味くださいませ」
五人の目が輝く一方で、リクザエモンは「みたらし団子にすればよかった」と後悔。だがひと口飲んだ瞬間、その考えは吹き飛んだ。
餅のもっちり感、抹茶のほろ苦さ、きな粉と黒蜜の絶妙な甘さ。意外にも、これが実に旨い。食べ物は見た目で判断してはいけないと、リクザエモンは密かに反省した。
「で、ジジイは告白メッセージがうまく作れないってことだよな?」
シェィクを豪快に半分ほど平らげたドラコが再び問いかける。特徴的な赤髪に、きな粉が付着しているが、気にしていないようだ。
「そうなんじゃ。恥ずかしいことなんじゃがのぉ」
「恋って素敵ですわね」
レミエルが目を細め、言葉を重ねる。
「メッセージも大切ですけど……、場所や雰囲気、プレゼントも重要ですわよ」
さすがは恋愛マスター。恋のキューピッドと仲が良いと聞いたことがある。
そして、レミエルは続けて問いかけた。
「サチさんが好きなものは何かしら?」
「うむ……」
腕を組んだリクザエモンはしばし沈黙。しかし、何も思い浮かばず、己の無力さに打ちひしがれそうになったその時…。
「サチさん、ぬいぐるみが好きみたいだよ!」
小夏が助け舟を出す。
どうやら先日、雑貨店で王様のぬいぐるみをじっと見つめていたらしい。
王様のぬいぐるみとは、行方不明の王の無事を祈って市民が作り始めたもので、今やバリエーション豊富な人気アイテム。名工が作る一点物は入手困難なほどだ。
「サキちゃんも狙ってて、私たちも手分けして探してるんだよ」
「小夏よ、転売を考えてはおらんよのぉ?」
「そ、そんなことしないよ~。それよりね…」
目を泳がせながら否定する小夏。
だがレミエルは何かを思いついたように手を打った。
「それならちょうどいいわ。友達のキューピッドが、オフィシャルの限定ぬいぐるみを作っているの。特別なプレゼントにぴったりじゃないかしら?」
「なんと! それはありがたいのぉ。それでキューピッド様はどちらに?」
リクザエモンの問いに、天使のレミエルは小悪魔のような笑みを浮かべる。
「シェィクを私たちにご馳走してくれたら、教えてあげてもいいかしらね」
「レミエル、ナイス!」
声の主はドラ子だ。
一方、ナーマは申し訳なさそうな表情でリクザエモンを見る。
「レミエルさん、それはリクザエモンさんに悪いですよ…」
「……わかった。会計はワシが持つとしよう」
こうして商談成立。
キューピッドの居場所を教えてもらうことに成功したのだった。
だが、話はそこで終わらない。千秋がわざとらしく咳払いしてから言った。
「ところでリク爺、肝心の告白のメッセージはどうするのさ?あ、店員さん、わらび餅追加お願いします」
千秋が首をかしげ、リクザエモンに問いかける。
「そうじゃ、肝心のメッセージ…」
リクザエモンは頭をかきながら濁す。その横で小夏が呆れ顔でため息をついた。
「小夏と千秋ちゃんが、いくらアドバイスしても、全然ピンときてないみたいだしね。店員さん、特製パフェお願いします」小夏は呆れ顔で、リクザエモンに言い放ったのちに満面の笑みで追加注文をした。
「それでしたら…」レミエルが優雅に髪を払って口を開いた。
キューピッドは、人里離れた辺境に住んでおり、リクザエモン一人でたどり着くのは困難。そこで冒険者の手を借りる必要がある。その冒険者にメッセージ作りの手伝いを、ついでにお願いするというものである。
「店員さん、抹茶パフェをお願いしますわ」
最後に追加注文をして、レミエルは提案を終えた。
「おお、さすが天使じゃのぉ。妙案じゃ!」リクザエモンは目を輝かせる。
そこにドラ子が豪快にシェィクをすすりながら割り込んだ。
「ジジイ、そんなの考えるまでもねぇだろ? 『好きだ。残りの人生、一緒に楽しく暮らそう』って言っときゃいいんだよ!店員さんシェィク追加ね!」
「ナーマ的には、もっと愛情がこもった言葉の方がいいと思うのです!店員さん、どら焼きをお願いします」
ナーマも譲らない。
ああでもないこうでもないと議論は白熱したが、数時間経っても結論は出ず。結局、リクザエモンが頑固に納得しなかったため、レミエルの提案を正式に採用することになった。
反省会と女子会はお開きとなり、ぞろぞろと退店する一行。その背を見送ったリクザエモンは、会計に手を伸ばした瞬間……。
「……な、なんじゃこの金額はぁ!?」
思わず心臓が止まりそうになるリクザエモン。
ご馳走するのはシェイクだけだったはずだが、全てを支払うことになってしまった。もちろん、先に店を出た五人がその悲鳴を耳にすることはない。
※終了後、イベント当日のセリフを掲載しますので、全体のストーリーをお楽しみいただけます。
(りくざえもん)
! リクザエモンですじゃ
! みなさん、集まってくださってありがとう
! 感謝しますぞ
! 本日、みなさんにお願いしたいのは
! キューピッドの住処へ向かう道中の護衛
! それと、告白メッセージ作りのアドバイスになりますのじゃ
! 少し経緯をお話させていただこうかのぉ
! 5月にオークの吉田が醤油を探していたのを覚えておるかのぉ?
! ゴーストのデロス君が母のサチさんに
! 醤油風味のたこ焼きを食べさせてあげたいと言っておった件じゃ
! それがきっかけで、ワシは例の屋台でサチさんと再会したんじゃ
! うん十年ぶりの再会じゃった
! お互いに年老いてしまったが、あの瞳は当時のままじゃった
! それから、二人の時間が再び動き出したと言えばよいかのぉ
! ご飯を食べに行ったり、買い物に行ったり
! 演劇を観に行ったり
! 今風にいうとデートというものをしたんじゃ
! ワシは当時サチさんを好いておってのぉ
! デロス君が急逝して、サチさんが姿を消した時は
! かなり落ち込んだもんじゃ
! あの時の心の苦しみは、今でもトラウマになっておる
! ゆえにワシは今でも独身なんじゃがな…
! そういうこともあり、サチさんとの再会は
! 天の神様が、最後に与えて下さった好機だと思っておるんじゃ
! サチさんも、ワシが誘うと必ず来てくれるし
! これはもう…、その、あの…
*リクザエモンは赤面する*
! 告白するしかないじゃろと思ってのぉ
! ところがじゃ…
! 告白の言葉、メッセージ作りが苦手でのぉ、強烈にダサいんじゃ…
! 先日も、ゼントの銀行前で空を眺めながら言葉を考えていたが
! なんとか完成したのは
! 恐れながら申上参らせ候……
! あゝ、愛しきサチ殿。
! 貴女の瞳はなにゆゑ、斯くも美しいのか……
! それを近くで見ていたちびっ子がおるんじゃ
! 小夏と千秋。サキの友達らしく、かなりバカにされたんじゃ…
! それでも二人は、いろいろとアドバイスしてくれたんじゃが
! 合格点は出なかった…
! その時、偶然にも例の屋台の常連である
! ナーマ、ドラ子、レミエルに遭遇してのぉ
! レミエルは天使ということもあって、恋愛に詳しいようで助言してくれたんじゃ
! メッセージも大切じゃが、場所や雰囲気、プレゼントなども重要じゃと
! そのプレゼントに最適な情報を小夏が教えてくれてのぉ
! 偶然にもレミエルの知り合いのキューピッドが
! それを作っているそうなので、今から授かりに行こうと思うんじゃ
! ただ、キューピッドの住まいは辺境の山奥
! ワシひとりでは、とても行くことはできぬ
! そこでみなさん、道中の護衛をお願いするのじゃ
! 無事入手して、ゼントへ移動した後は、
! 告白のメッセージのアドバイスをお願いしますじゃ
! それでは、早速移動するとしましょうぞ
! その前にチャットに入るんじゃ
! Yamato EM Eventですぞ
, 本日もよろしくお願いしますのじゃ
●移動後
(りく)
, ところどころに桃色の道しるべがあるそうじゃ
, それを探しながら進もう
, それと、強いモンスターの出現箇所もあるようじゃ
, 注意して進もう
, 危険なゴリラの生息地らしいので、それにもご注意じゃ
(りく)
! みなさん、ちょっとよいかのぉ
! この先に進むとゲートがあるそうじゃ
! そこを入れば、キューピッドの森に通じる回廊になる
! ちなみにキューピッドには限定品の王様のぬいぐるみを貰うんじゃ
! 小夏が教えてくれた情報だと
! サチさんは、王様のぬいぐるみシリーズに興味があるそうなんじゃ
! 王様のぬいぐるみとは
! 行方不明の王の無事を祈って市民が作り始めたもので
! 今やバリエーション豊富な人気アイテム
! 名工が作る限定品は転売もされておるそうじゃ
! 今から会うキューピッドは、その限定品を作っておるそうじゃ
! これをサチさんに渡せば喜ぶこと間違いなし!
! もう一息じゃから、がんばってくだされ
! キューピッドはウィプスの姿をしておるそうじゃ
! 間違えて攻撃せぬよう頼みますぞ
●キューピッドの森
(りくざえもん)
! 到着じゃ
! あれがキューピッドのようじゃのぉ
! ごきげんよう、リクザエモンですじゃ
(キューピッド)
! こんな山奥までようこそお越しくださいました
! 私が愛のキューピッドです
! 事情は天使のレミエル様から伺っております
! ただ……
(りく)
! 浮かない様子じゃが
! 何かのっぴきならないことでも?
(キュ)
! ついさっき、王様の限定品ぬいぐるみを
! 転売目的の窃盗団に盗まれました
! シクシク…
(りく)
! な、なんですと!
(キュ)
! 盗賊団はビーストに変身しており
! 私の力ではどうすることも…
! どうかお願いです
! 盗賊を倒してください
! ここの情報がバレたら
! また、新たな者たちが来るかもしれません
(りく)
! いや、盗賊が来たということは時すでに遅し
! ここのリストは既に出まわっていると思われますぞ
! 場所を変えることをお勧めしますじゃ
(キュ)
! なんですって!
! ここの場所は気に入っていたのですが
! また盗賊が来たら困ります
! 他の場所へ引っ越します
! ただ、仲間もいますので
! 盗賊を退治して、引っ越し準備の時間稼ぎをお願いしたいです
(りく)
! もちろんですじゃ
(キュ)
! ありがとうございます
! 盗賊が持って行ったぬいぐるみは、お礼に差し上げます
! どうぞお持ちください
(りく)
! ありがとうございますじゃ
! して、盗賊はどちらの方向へ?
(キュ)
! この後ろにある桃色の岩の中に
! 逃走用のゲートが埋まっています
! 盗賊が帰って来たら困るので
! 岩で封じました
! 岩を崩せばゲートがまだ残っているはずなので
! それを使えば追いつけるかと思います
(りく)
! 分りましたじゃ
! みなさん、盗賊を追いましょうぞ
(キュ)
! 少しお力添えをしましょう!
! 私の力を使って、盗賊を先回りする感じに
! ゲートの行き先を調整しました
(りく)
! おっかなびっくりな力をお持ちで!?
(キュ)
! たいしたことではございません
! それでは皆さま、宜しくお願いします
(りく)
! お任せあれ
! みなさん、移動じゃ
●ゼント銀行前
(りく)
! みなさんのおかげで、無事にぬいぐるみを入手できましたじゃ
! ありがとう
! あとは、告白のメッセージ
! ポエマーのみなさん
! 何か妙案はないじゃろうか?
! 一応、ワシが作ったナウいメッセージ
! 恐れながら申上参らせ候
! あゝ、愛しきサチ殿
! 貴女の瞳はなにゆゑ、斯くも美しいのか
! この続きに、みなさんのアドバイスをいただきたいのじゃ
※いただいたアドバイス
ワシはゼントのリクザエモン、まじハイセンスな一級のしゃれもの
余生を一緒に過ごしましょう
※冒険者からアイデアをもらい完成させる
※完成後
(りく)
! みなさんのおかげで、よいメッセージができたのぉ
! 感謝しますぞ
! あとは、いつ告白するかじゃのぉ…
※サチ登場(リクザエモンの方へ歩く)
(さち)
! おや、リクザエモンさんじゃありませんか
(りく)
! ほぇぇぇぇ
! サ、サチさん!どうしてここへ…
(さち)
! 抹茶餅シェークを食べた帰りですよ
! こんど、ご一緒にいかがです?
(りく)
! もちろん、喜んで!!
! みなさん、今が言うチャンスかのぉ?
※反応を聞く
(りく)
! やはり、そうじゃよな
(さち)
! 冒険者のみなさんもいらして、何か企んでらっしゃるのかしら?
(りく)
! あ、あのぉ
! サチさんに大切はお話があるんじゃ
(さち)
! はい。なんでしょう、リクザエモンさん
(りく)
! 恐れながら申上参らせ候
! あゝ、愛しきサチ殿
! 貴女の瞳はなにゆゑ、斯くも美しいのか
! ワシはゼントのリクザエモン、まじハイセンスな一級のしゃれもの
! 余生を一緒に過ごしましょう
! どうか、ワシと一緒になってくれんかのぉ
(さち)
! はい。喜んで!
(りく)
*リクザエモンは嬉しさのあまり心臓が止まった*
! ほぇぇぇぇ
! 一瞬、如来さまが見えたような気がした…
! サチさん、ありがとう
! 残りの人生、一緒に楽しく過ごしましょうぞ
(さち)
! そうですわね
! リクザエモンさんと一緒にいると
! 楽しそうですもの
(りく)
! みなさん、今日は本当にありがとう
! ワシは幸せもんじゃ
! 後日、パーテヱーを開く時は、みなさんもぜひお越しくださいなのじゃ
(さち)
! 楽しみですわね
(りく)
! 今日は本当にありがとうございましたのじゃ
! それではまた!
(さち)
! ごきげんよう
END
この記事は、イベントを企画している「イベントモデレーター」のブログのページを引用しています。
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